私の後輩マネが悪女モドキ(笑)をやめたら超お節介ストーカー系になって恋路がとんでもないことになってる

私が彼を選んだ理由。 ページ34

*








あんまり、特に、なかった。

思いつきってわけじゃない、でも別に「愛してる」って愛を叫びたい相手ってわけじゃない。


突き詰めればもしかすると、誰でも良かったのかもしれない。

それでもじゃあ、なんで選んだんだよ、と言われれば、やっぱり単純で。


彼＿＿＿花巻貴大を私が選んだのは、おおよそ、予測がつくだろう。




＊




「告白の、答えのことだけど＿＿＿」



開けた場所にある、小さな空き地。

新見が腰に巻き付いたままにやって来た私を見て、彼らは「何がどうなってんだわけわかめ」って顔をしていたものの、私がそう切り出せば、しっかりと聞いてくれたのだった。



「ごめん。実は普通に忘れてた」



実はも何も、ほんと普通に頭からスポーンと抜けていた。何ならここに来てやっと思い出したくらいなのだから。

4人の声が「……え？」と揃った。



「いや、ほんとなんか心の準備？してもらって悪いんだけど、何も考えてなかったから答えが出せないって言うか、ない。……それでも今すぐ答え出せって言われると、全員フると思うんだけど」



またしても4人は「え……」と声を揃えた。



「だから、……なんて言うかな、申し訳ないけど、とりあえず無理です以上」


「……ってことは、……まだチャンスがあるってこと……？」



真っ先にそう声を上げたのは菅原だった。

私はふと思った。確かに、私は今答えを出せない。だからと言って今すぐ幻滅してしまえば、彼らは私の答えを待たなくていい。

逆に、菅原のような考えをしている場合、私は今からその答えを出すために考えなければならないということ。


要するに、だ。



「……まぁ、待つって言うなら、そういう事になんのかな」



菅原はぱあっと花が咲いたように笑うとそのまま駆け出して来たかと思えば、私の手を握った。



「じゃあ今から俺とデートしよ！卒業記念にプリクラとか撮ったら楽しいべ？」


「プリクラ……そう言えば夏に撮ったっきりだな。いいよ」


「菅原くん抜け駆け！」


「待て菅原、てか峰口！ストップ！だったら俺らだってそれ行く権利あんだろ、全員卒業生だぞ！」



もなかと花巻がそう叫んだもんだから、ウシワカは「そう言うものなのか」と理解したらしく、「俺も行く」と言い出して収拾がつかなくなった。







*

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す