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お前はドラマの中の主人公か!と徠叶に理不尽な脳天チョップを食らった直後、居酒屋の扉が開く。
「いらっしゃいませー」と気だるげな店員、基この店のオーナーである黒尾がそう言った。
「……あ。あー、迎えに来たんだ?」
黒尾の声がまたも聞こえ、その後パタパタと二人分の足音が近づいてきたかと思えば、黒尾と共に、旦那が姿を現した。
「迎えに来た。……まだ、早かったか?」
少し困ったようにそう言った彼に、私は首を振った。
「そろそろ帰ろうと思ってたよ」
「えー!Aもう帰るの、帰っちゃうの!?」
「悠梨うるさい。Aは明日も仕事だっての。……ほら、悠梨は私が抑えてるから帰んな。今日はわざわざありがと」
「いーや。私も久々に2人に会えて楽しかったよ。んじゃ、また連絡する」
荷物をまとめて立ち上がり、帽子を深く被った。
小さく手を振って、それから彼に近づいた。
まだ戻っていなかったらしい黒尾が私と彼を見て笑う。
「相変わらずラブラブだねぇ、お二人さん。……ま、とりあえず今後ともうちをご贔屓に?また来いよ」
「そーな、また来るよ」
そう言った私の横で車の鍵を取り出した彼は、「表に車回してくるから待ってろ」と告げて店を先に出た。
「はー、いいねぇ。俺も早く嫁さん欲しいわ」
「お前オーナーだろいつまでここで油売ってんの」
「えー、だって久々に夫婦揃ってるとこ見たし、ちょっとくらいいいじゃん。それにうちのスタッフは優秀だしな」
「オーナーのあんたがそんなだからでしょ。よく立ち上げから付き合ってくれたもんだね、夜久くん」
「いや、マジそれな。俺も未だにそれだけは謎なんだよ、何で夜久が付き合ってくれたのか」
「さぁね」
「てか、俺そろそろマジで悠梨ちゃん狙おっかな。今フリーだろ?」
「は?」
「ガチトーンかよ……」
「冗談だよ」
そこまで言い合って、もう一度ガラリと扉が開いた。
「車、もう目の前に停めたから」
「ありがと」
「こんくらいいいって。……じゃ帰るか」
「ん。そーだね」
差し出された左手に、自分の右手を重ねた。
にっと笑った彼につられて、私も笑った。
「___貴大」
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西谷彩香(プロフ) - 雄里さん» コメントありがとうございます!こんなに兄弟出したの初めてでした、と言うか何故私はこんなに沢山出してしかも全員シスコンにしちゃったんだろうか。永遠に謎ですね。書いてて楽しかったものが誰かに楽しんで貰えたのは嬉しいです!ありがとうございました! (2018年11月15日 23時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - うー太郎さん» コメントありがとうございます!意外にも見返したら登場人物が多くてラスト一体どうしよーと悩んだ結果あれです、でも割と出せたぜやったね。次回作は別のジャンルの可能性高いのでアレですが!ありがとうございました! (2018年11月15日 23時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
雄里(プロフ) - 完結おめでとうございます。初めからずっと見させていただきました!本当に面白く切ない作品でした。特に好きなところは兄弟全員がシスコンというところです()次の作品も楽しみにしています! (2018年11月15日 23時) (レス) id: e6aa9e061e (このIDを非表示/違反報告)
うー太郎(プロフ) - コメント投稿した直後に更新されたのでし直し!新見でてきた〜嬉し(’-’*)♪ラスト峰口ちゃんらしくて良きです!面白い作品をありがとうございます!これからも期待してまっす (2018年11月15日 23時) (レス) id: c8812ff913 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - shinox2さん» コメントありがとうございます!ううむ、今回で終わりの予定が長引きそうな気がしてきたぞ……兄弟たちのことは間違いなく入れないと「なんで?」のまま終わってしまう……!何とかねじ込みます(笑)ラストまで是非お付き合いください! (2018年11月14日 7時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2018年10月21日 13時