私の後輩マネが悪女モドキ(笑)をやめたら超お節介ストーカー系になって恋路がとんでもないことになってる

＊ ページ23

*








兎にも角にも、春高予選宮城県大会。

開会式も終わり、試合開始の1時間前には集合と告げられ、とりあえずは少し時間が出来た訳だが、この時間マジ要らなかった。私逃げれないやんけ。



「み〜ね〜ぐ〜ち〜……？」


「はは……そんなおっかない顔してどしたん花巻……マジ凶悪犯面だよ」


「尋問させてもらうぞ、ここ数週間のことについて……」


「マジ大したことないから勘弁して。てかよくよく考えろ、ちゃんと考えろ、嫉妬だろうがなんだろうが好きにしてくれ、私もうそれに関しては何も言う気ないから。でもそれ私に押し付けんのは違う、私花巻の彼女じゃない」



私がほぼ一息にそう言い切ると、私らのことが気になって仕方ないらしい松川が「……あ」という顔をしたかと思えば、ギギギ、と私に向けていたあの恐怖を花巻に向けた。



「……花？」


「……いやマジ違うんだって、今は違うだけでその、先はまだそうとは言い切れないと」


「今は？」


「ごめんなさい違います」



花巻と松川のそんな会話を見聞きし、なんとなく事情を察しようと思ったが理解能力が私にないだけなのか、よく分からんかった。

そんなことをしていると、シードのためにまだ試合がない白鳥沢が、向こうから歩いてくるのが視界の隅に映った。



「……ヤッベ」



思わずその場から離れようと、1階のエントランスにいたのでは見つかると思い、2階の観客席に続く階段を駆け上がった。

案の定、G並の逃げ足の速さを誇る(自称)私は気づかれることなく無事ウシワカから逃げ切り、そのまま一息ついたその時。



「峰口？どーした、そんな息切らして」



日向くんと共にドリンクのボトルを抱えた菅原が目の前に現れた。



「……菅原」


「お、あ、ひ、おひさすぶりです!!……あっ」



他校のマネージャーに慣れてないのか。合宿の時も思ったけど日向くんって初心だよな。

しかもこれ計算とかじゃなくて天然モノってのがすごい。こんな可愛い後輩私も欲しかった。


金田一は割と可愛いけど影山くんに対してちょっとキツいし、国見くんは人の事すりよれば塩キャラメルくれる人みたいに思われてるからね。


マジ日向くんを見習ってくれ青城1年ズ。そんな思いから、無意識的に呟く。



「羨ましい絶対勝つ」



だって戦力でも負ける訳にはいかないからな。






*

＊→←邂逅、春高予選。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す