茂庭くんと図書館。 ページ16
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何だかんだと、まぁ、ほら、うちのにぃたちは才能マンだから。
それに集中するために、勉学はそれとなく一通り出来てしまっていたらしい。
学年では成績的には上位常連者ではあるものの、1位ではない私をにぃたちは「馬鹿だなぁ」と思っているに違いない、と最近になって改めてそう思ったから、一応受験生だし休日くらいは勉強するか、と図書館に繰り出したわけである。
無論、にぃたちに教えを乞うても良かった。
いや、むしろ頼みたかったから頼んだんだけど、俺がやる俺がやる、と騒いでダチ○ウ○楽部みたいに「どうぞどうぞ」しないから決まらなくて私の勉強が始まらないから、騒ぐにぃたちを置いて家を出て来た次第である。
ちなみに今日は白鳥沢は練習があるらしく、郁は朝もはよから「行ってきます」と行ってしまっていたので、とりあえずあれ以来ちょっと怖くなったウシワカの突撃はないなと安堵していた。
……まぁ、だからと言ってその、油断していたとかでは断じてなく。
「あー、平和だな今日マジ最高」って頭がぽやぽやしてたのは認めるんだけどさ。
「……あれ、峰口さん?」
「……おっふ」
まぁ、そりゃお互い受験生だし、この辺で大きい図書館ってここだよね分かる。しかも図書館って静かだしさぁ、集中しやすいよねぇやったー、……なわけねぇわ。
「あー、……茂庭くん?」
「覚えててくれたんだ、ありがとう」
大きなテーブルに着いて参考書を広げていた茂庭くんはそれを閉じて照れくさそうに笑った。
「いや、まぁそりゃ、一応ね。……受験勉強?」
そう言いながら真正面の席に腰を下ろそうとすると、茂庭くんはこっちにどうぞ、と言わんばかりに隣に置いていたらしい荷物を下に置いた。
「勿論。そっちも?」
「うん。あとちょっとしたマッサージの本とか漁りに」
茂庭くんの厚意に甘えるか、と隣の席に腰を下ろすと、茂庭くんは自分の参考書を見せてくる。見たところ目指すレベルは私よりちょっと下みたいだ。
小さく首を振って自分の参考書を手にすると、茂庭くんは目を丸くして驚いていた。
「そっか、まだ引退してないんだ、青城は」
「春高予選までは残ってウシワカ叩いて全国行ってやるって及川が意気込んでたからね」
昨日の練習時の及川を思い出しながら苦笑いでそう答えた。
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西谷彩香(プロフ) - 雄里さん» コメントありがとうございます!こんなに兄弟出したの初めてでした、と言うか何故私はこんなに沢山出してしかも全員シスコンにしちゃったんだろうか。永遠に謎ですね。書いてて楽しかったものが誰かに楽しんで貰えたのは嬉しいです!ありがとうございました! (2018年11月15日 23時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - うー太郎さん» コメントありがとうございます!意外にも見返したら登場人物が多くてラスト一体どうしよーと悩んだ結果あれです、でも割と出せたぜやったね。次回作は別のジャンルの可能性高いのでアレですが!ありがとうございました! (2018年11月15日 23時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
雄里(プロフ) - 完結おめでとうございます。初めからずっと見させていただきました!本当に面白く切ない作品でした。特に好きなところは兄弟全員がシスコンというところです()次の作品も楽しみにしています! (2018年11月15日 23時) (レス) id: e6aa9e061e (このIDを非表示/違反報告)
うー太郎(プロフ) - コメント投稿した直後に更新されたのでし直し!新見でてきた〜嬉し(’-’*)♪ラスト峰口ちゃんらしくて良きです!面白い作品をありがとうございます!これからも期待してまっす (2018年11月15日 23時) (レス) id: c8812ff913 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - shinox2さん» コメントありがとうございます!ううむ、今回で終わりの予定が長引きそうな気がしてきたぞ……兄弟たちのことは間違いなく入れないと「なんで?」のまま終わってしまう……!何とかねじ込みます(笑)ラストまで是非お付き合いください! (2018年11月14日 7時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2018年10月21日 13時