その25、後輩マネは媚を売る方法を忘れたらしい。 ページ35
*
どうもまだ私に不信感を抱いてるらしい及川が、岩泉達と食堂へやって来て早々、「今ちょっと峰口ちゃんの顔見たくないから離れててくれる？」と直訴して来た。強いなお前。
厨房でまだ片付けのために残ってくれていた兄達と、たった今食堂に入って来た郁がその声を聞いて、瞬間額に青筋を立ててたってのは、後々に聞いた。
「いや構わないけど。あ、安心していいよ、今日の夕飯は私手出してないから」
「……そんなことまで押し付けるんだ？」
「はぁ？……あー、うんうん、じゃあとりあえずそれで」
いいよ、と続けようとしたその時、後ろの厨房の方からすごい音が聞こえてきた。何してんだと思っていれば、気づけば何故か私の前に、及川から私を庇うようにして新見が立っていた。
……Why？
「……新見ちゃん、何してるの？どうして峰口ちゃんを庇ってるの？」
「私っ、及川先輩に先輩を責めて欲しくて言ったんじゃないですっ!!」
「新見、ちゃん……？」
「そうですよっ、先輩はだって、先輩は……っ」
そこで言葉が詰まったのか感極まったのか、新見は泣き出して続きは言葉にならない。
お前は何がしたいんだ。
「新見、私からも聞くけど何で私を庇ってんの」
泣いてる新見に容赦なく言葉を投げ返答を求める私は鬼に見えるかもしれないけどそう言うつもりはない。
いや普通に疑問じゃね？この子はミーハーで、自分が一番可愛くて、だから愛されたくてお姫様になりたくてこの部に入ったんじゃなかったのか。
今まさにそのチャンスじゃん。だってあの及川が完全に新見側に傾いてるんだから。
だからこそ喋れ。私にも分かるように説明してもらわないと私が困る。とても。
「新見ちゃん、無理しなくていいんだよ？言わされてるなら、無理に言わなくたって」
「いやこの状況でよく言えたなそれ」
「峰口ちゃんは黙ってて」
及川が例えガチ切れしても私は全然怖くないだろうけどちょっと面倒だな。
ちなみに私が恐れるのはガチ切れした時の陸にぃと父だ。あの二人は怒らせちゃやばい。
あの海にぃが黙り込んで、あの空にぃが言葉を失って、あの将にぃが蛇に睨まれた蛙みたいになって、あの柊にぃが涙目になる程のそれだ。昔一度だけ見たことある。やばいの一言に尽きた。
*
その26、後輩マネは及川が好きなはずだった。→←その24、後輩マネはイケメン好きな割にイケメンに耐性がない。
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西谷彩香(プロフ) - おかかさん» コメントありがとうございます！まだ読んでいただけてる人がいること、ありがたく思います。新見はとにかくコミカルなタイプを目指しました。…が、少しコミカルになりすぎました笑。ありがとうございました！ (2020年8月22日 10時) (
レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
おかか - 後輩マネちゃんがくっそかわいい(´・∀・)めっちゃ面白いです！ (2020年8月22日 9時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 三日月姫さん» なんと……。そんな偶然あるんですね、さすがに驚きを禁じ得ない……。「翔」で揃えただけだったと言うのに……確かに「まさに天啓」ですこれ…… (2018年10月29日 17時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
三日月姫 - 小説内で、海斗、快斗、海都…だが初めて、海翔と言う名が、私の兄とかぶった瞬間だった。まさに天啓であった。 (2018年10月29日 17時) (レス) id: 77365c439a (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 氷翠さん» コメントありがとうございます！まさかついに被る方が現れるとは……。気まずさは何となく分かる気がするので、一度でも読んでいただいたこと、こうしてコメントくださったことに感謝します！次作は是非とも！読者様になっていただければ幸いですとだけ……！(笑) (2018年10月6日 21時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西谷彩香 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時：2018年8月25日 10時
