月の光 8 ページ9
*
翌日の朝練。
時間になって片付けを始めた時だった。
「日向、」
「……あっ、はい!何ですか、縁下先輩!」
「いや、さっきから鼻歌すごいけど……何かいい事あった?」
「へっ!?な、ななな、ナイデスヨ!?」
「……いや、あったね」
「ナイデス!!」
「ないならないでも、いいけど……すごい機嫌良さそうだったからさ。スガさんが彼女じゃないかーって騒いでて」
「力!!スガさんがすげぇ顔してるぞ!!」
「え……そんな言っちゃダメなことだったかこれ……」
確かに昨日の昼休み、スガさんは俺に「彼女出来たのか!?」って聞いてきてたし、まだ気にしてたのかも。
でも敢えて言うのも何だかなぁと思って何も言わないでいた。
結局、その日の放課後練習の後、部室でスガさんにひどく気にされたけど「彼女なんていないです!」と言い続けると、流石にそれは信じてくれた。
信じてはくれたけど、「何かあっただろ」と突っ込まれ続けて、俺は圧に負けて橋田さんのことを話した。
「……ふーん、じゃあ彼女じゃなくてこの近くの高校の女友達が出来て、帰り一緒に帰ってるんだ」
「そうです!橋田さん、なんか、話しててすごい楽なんですよ!」
「いい子なんだな」
「はい!昨日待ち伏せされてたのは本当にびっくりしましたけど!」
「今日もしてたりして」
「もうするなって言ったから、今日は会わないと思います!」
「でも、連絡先交換とかしてるわけじゃないんだろ?」
「してないですけど……」
「じゃあほら、可能性はあるんだしさっさと帰んべ?」
スガさんに促されて着替え終わった練習着を鞄の中に押し込んで立ち上がる。
周りを見れば、もう俺とスガさん以外いなかった。
「もし会っても怒らないで話すんだぞ!」
「分かってます!」
そんなことを言われてスガさんと別れ、俺はすぐに自転車を飛ばした。
全力で漕いでいると、あのT字路にたどり着くよりも手前に、街灯もないはずの道に、灯りが浮かんでいた。
「…………えっ」
何であんな所に。
この辺本当街灯なかったはずなのに。
「こえぇ……っ!」
さっきよりもスピードを上げて全力で通り過ぎようとしたその時、「あっ」と言う聞き覚えのあるような声にブレーキをこれでもかと壊れるくらいに握った。
*
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西谷彩香(プロフ) - せみさん» コメントありがとうございます!日向のあの真っ直ぐな感じを活かしてどう作るかを考えた時に偶然登場してた(特に深い意味もないし名前もホントはなかった)合田おじさんが大活躍でしたあっぱれ。そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございました! (2018年10月6日 12時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
せみ - 感動しました!!日向は日向のままでいるとこんな作品が出来るのか、、、!とびっくりしました笑 本当に面白かったです!お疲れさまでした!これからも頑張ってください。 (2018年10月6日 10時) (レス) id: ac69ea21d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2018年8月15日 8時