月の光 22 ページ31
*
そこから俺は転がるようにして落ちていく。
何か、俺が俺として生きてきた何かが、全て。
俺は、ひなた。
ひなた、しょうよう。
あの日……あの道で、橋田さんと出会った。
いつも、一緒に他愛ない話をして帰って、楽しくて、だから俺、……俺、は。
「好きだ……橋田さん、が」
「……ダメだよ」
「何で」
「だって、……私も、ひなたくんが好きだから」
「じゃあ！」
「聞いたでしょう？この道はないの。私は見えちゃいけないの！」
橋田さんはそう言ってとんっと俺の胸板を押して無理矢理離れさせる。
俺は押された分数歩近づこうとすれば、橋田さんは「来ないで！」と声を荒らげた。
「……私はね、ひなたくん。もうここにはいないんだよ。私は……もう死んでるんだから」
何を言ってるのか、分からなかった。
「もう何十年も前に病気で死んでるの、……都市伝説になって、ここに居続けて……」
止めようとしても、橋田さんの話は止まらない。
「……そして、ひなたくんと出会った。初めは私が見える人なんて珍しかったから……あなたを道ずれに引き込んで、都市伝説として連れて行こうとした。……でも出来なかった」
でもそれを聞いて、俺は何となく理解し始めていて。
「好きになったから、殺せなかった。……昔と一緒。好きだから一緒にいたくて、道ずれにしようとしたのに……生きてて欲しいって思った。あの時だって……生きてて欲しかったのに、私はこの力を抑えつける術がなくて、失った」
橋田さんの後悔を知って、俺は拳を握りしめる。
「だから、忘れさせたのに。私のことなんて、思い出さなければ良かったのに……ひなたくんにはバレーがあって、仲間がいて、全国を目指すんでしょ？私はその夢を叶えて笑う、ひなたくんが見たい。だから、もう……」
その続きを言葉にするのはきっと辛い。
俺だって聞きたくない。
……でも。
「橋田さん」
「……何？」
「俺、まだあの……えっと、花、知らない。見せてくれるって、約束だった！」
「……もうその約束も、守れな＿＿＿」
「絶対！思い出すから！そんで、俺……夢叶えて、もっかい橋田さんに会いに行く！……だから、」
俺は橋田さんの声を遮って、そして、続けた。
「
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西谷彩香(プロフ) - せみさん» コメントありがとうございます！日向のあの真っ直ぐな感じを活かしてどう作るかを考えた時に偶然登場してた(特に深い意味もないし名前もホントはなかった)合田おじさんが大活躍でしたあっぱれ。そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございました！ (2018年10月6日 12時) (
レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
せみ - 感動しました！！日向は日向のままでいるとこんな作品が出来るのか、、、！とびっくりしました笑 本当に面白かったです！お疲れさまでした！これからも頑張ってください。 (2018年10月6日 10時) (レス) id: ac69ea21d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西谷彩香 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時：2018年8月15日 8時
