月の光 18 ページ27
*
「……この話には続きがあるとかないとか言われてるけど、俺が知ってるのはここまで」
スガさんがそう言ってため息をついた。
でも、だとしたら、何でだ。
「"忘れてくれ"って言って、その合田ってやつは、助かったんですよね？なのに何でまだ、その"橋田さん"がいるんすか」
スガさんは何とも言えない表情で、ほんの少し何かを考えるような仕草を見せてから、「……監督なら、知ってるかも」とだけ漏らして、パッとその顔を一気に笑顔に変えた。
「日向が待ってるから、体育館戻るぞー？」
朝練の前だったことを思い出して、俺も我に返って体育館に向かった。
俺の頭は、その"橋田さん"が一体なんなのか、監督が何を知ってるのか、そして、あの時日向が見たのは何だったのか、そんなことに気を取られた。
……数日前の日向と変わんねぇじゃねぇか。
「影山、今日どうしたんだよー？」
お前のせいだよと掴みかかりそうになったが俺はそれを必死に抑えた。
とりあえず、監督に聞けば分かるかもしれないなら、聞いてみるしかない。放課後、練習の後で。
日向が覚えていない、あの"橋田さん"のことを。
＊
その日の放課後、帰りがけの監督に声をかけた。
「監督」
「ん？おお、影山。どうした？」
「……ちょっと、いいスか」
「構わないけど……今日は練習していかないのか」
「……それどころじゃないんで」
俺の言葉に、監督は少し驚いた様子を見せてから、「分かった」と答えた。
監督について学校を出て坂ノ下商店に向かう。
「ばあちゃん、今戻ったから店番代わる……あ、」
監督がそう声を上げた瞬間、店の中にいた人が振り向いた。
優しそうな顔の、おっさんだった。
「繋心くん、だね。久しぶり」
「本当に久しぶりっすね……お元気そうで」
「そう見えるのなら、まだ大丈夫なんだろうね……」
「……何か、あったんです？」
「あったと言うか……あれ、後ろの彼は？」
「あぁ、今そこの烏野でバレー部の監督してて。教え子兼後輩の」
「影山、っス」
「……オレンジの髪の子も、いるね？」
その人は、何故か日向を知っていた。
直後監督が、思いもよらない名前を口にした。
「日向を知ってるんですか、
*
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西谷彩香(プロフ) - せみさん» コメントありがとうございます！日向のあの真っ直ぐな感じを活かしてどう作るかを考えた時に偶然登場してた(特に深い意味もないし名前もホントはなかった)合田おじさんが大活躍でしたあっぱれ。そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございました！ (2018年10月6日 12時) (
レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
せみ - 感動しました！！日向は日向のままでいるとこんな作品が出来るのか、、、！とびっくりしました笑 本当に面白かったです！お疲れさまでした！これからも頑張ってください。 (2018年10月6日 10時) (レス) id: ac69ea21d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西谷彩香 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時：2018年8月15日 8時
