月の光の都市伝説 ページ26
*
「ひとつ、橋田さんに聞きたいことが」
「何ですか、先生？」
「……あなたは、」
「都市伝説か、って？」
「橋田……？」
棚田が聞くよりも先に、彼女はその笑顔を崩さずに逆に聞いてきた。
棚田は当然そんな質問が返ってくるとは思っていなかったから大いに驚き目を見開いた。そして、合田は予想すらしていなかったのだろう。訳が分からないと言わんばかりの表情で彼女を呼んだ。
「だって、まぁ、先生がそう思うのも、無理はないのかなって。私自身、分かってたしね。……でも、少し違うかな」
彼女の表情は困ったような笑みにかわり、そして説明してくれた。
「先生が言う、都市伝説なのかどうかについては、多分、そう。合ってると思います。きっと、そういう存在。だけど……私はまだ、そういう存在になったばかりだから、その都市伝説に私の意志はないんです」
「……と言うと」
「皆を殺そうとしているわけじゃないんです。確かに、一緒にいたいって願ったし、ずっと一緒にいてほしいって願ってしまった。だけど、だからと言って"私"が殺した友達に、どんな顔をしたらいいんですか……？あんなに、良くしてもらったのに」
「……そういう存在に、私達がしてしまったと」
「……そうですね」
そこまで話して、そこに合田が困惑したような声を出して入って来る。
「橋田、全然分かんねぇよ、都市伝説がどうだとか、そんなん、急に言われても、」
しかし、橋田さんはやはり綺麗に笑うだけ。
「安心していいよ、先生と言う部外者の乱入によって、今、都市伝説としての力は弱まってる。と言うか、発動してない。今は普通の、幽霊みたいなものだよ」
「だから、どう言う、」
「散々、私の意志に反して、美紅ちゃんも、坂下くんも、春香ちゃんも殺してしまった。……でもね、だからこそ私は、合田くんまで殺したくない。……これ以上、私を人殺しにさせたくないって思ってくれるなら……」
「はし、だ？」
やはり、彼女は綺麗に微笑む。
「私の噂を消して、私のことは忘れてください」
合田は、静かにその場に崩れ落ちた。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ハイキュー」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
西谷彩香(プロフ) - せみさん» コメントありがとうございます！日向のあの真っ直ぐな感じを活かしてどう作るかを考えた時に偶然登場してた(特に深い意味もないし名前もホントはなかった)合田おじさんが大活躍でしたあっぱれ。そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございました！ (2018年10月6日 12時) (
レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
せみ - 感動しました！！日向は日向のままでいるとこんな作品が出来るのか、、、！とびっくりしました笑 本当に面白かったです！お疲れさまでした！これからも頑張ってください。 (2018年10月6日 10時) (レス) id: ac69ea21d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：西谷彩香 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時：2018年8月15日 8時
