月の光 2 ページ3
*
「あ、の……ごめんなさい、私を、見てたのかな、って……」
「お、俺っ、み、見てないです！すみませんでした!!」
見ていた、とも言えなくて、思わずそう言って走り去ろうとすれば、後ろから「待って！」と俺を呼び止める声。
「み、見てなくても良いんです！その、あの……えっと、」
言葉がまとまらないのか、その人は「えっと」とか「あの」とかって言葉を繰り返した。
引き止められても俺から言えることは無いし、何より「見てた」ってバレてるのに引き止められてる俺って何だ。
それでも何とか言葉を口にしようとするその人があまりにも必死で、俺もなにか話さなくちゃいけないような気がしてきて、俺は自転車のスタンドを立てて、その人に向き直って口を開いた。
「あ、あの！」
「……えっ、はい」
「あの……名前は、何ですか!?」
＊
「……それで一人でいたのか」
結局、お互い名乗ってなかったことに気づいてとりあえず名乗り合い、お互いの身の上話を少しだけしていると、何となく理解出来た。……と思う。
その人＿＿＿
……で、俺にジロジロと見られて流石に気になって声をかけた、と言われた。
「それにしても、同級生だったんだな！」
制服を着てるから高校生だろうってのは分かってたけど、橋田さんは大人びて見えたから、と言うと、橋田さんは「そんなに老け顔……？」と困惑していた。
俺そんな誤解招く言い方したっけ。
「で、この辺の学校に俺詳しくないけど、なんて学校？俺烏野！」
「カラスノ……？……あぁ、烏野！うんうん、烏野ね、知ってるよ」
「小さな巨人、やっぱすげぇ！俺バレー部なんだけど、小学生の時テレビの全国大会の見て憧れて、そんで烏野来たしな！」
「バレー……強い選手、が、いたの？ごめん、私あんまりスポーツには詳しくなくて」
「じゃあ、何で烏野知ってんだ？」
「この近くに住んでるの。……地域の高校くらい、分かるよ」
そんなもん？って聞けば、「そんなもん、だよ」と笑うから、俺が知らないだけなんだなってソンケイした。
*
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西谷彩香(プロフ) - せみさん» コメントありがとうございます！日向のあの真っ直ぐな感じを活かしてどう作るかを考えた時に偶然登場してた(特に深い意味もないし名前もホントはなかった)合田おじさんが大活躍でしたあっぱれ。そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございました！ (2018年10月6日 12時) (
レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
せみ - 感動しました！！日向は日向のままでいるとこんな作品が出来るのか、、、！とびっくりしました笑 本当に面白かったです！お疲れさまでした！これからも頑張ってください。 (2018年10月6日 10時) (レス) id: ac69ea21d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西谷彩香 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時：2018年8月15日 8時
