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月の光 ページ18

*








彼は___

彼は、優しい人だ。とっても、優しい人なんだ。


私みたいな最低な嘘つきにさえ、優しい。

そんな人。


あの日、あの時、あの場所に私を見つけてくれた彼は、私にとって、太陽だった。


まさか、こんな思い、こうなってしまってから、知るなんて。


恨んでいたの、本当は。

初めは、彼を巻き込むつもりだった。


いつも此処を通る、オレンジの髪の、快活そうな少年。

あぁ、眩しい。まるで太陽だ。きっとあの人は輝き続ける。


だから妬ましくて、私に気づけば、気づいてくれたら、それだけで彼を、私は。


なのに、気づけば、私が惹かれてた。

太陽になれない私が、太陽に憧れてしまった。

私を無理矢理、太陽の下に連れ出そうとしてくれた。

十分だったの。それだけで、私は本当に。


でも、それを私が絶ったら?

彼は、それでも笑ってくれる?

私が彼を、引き込めば。


彼は、ううん、どんなに優しくても。

たとえ、彼が許してくれたとしても。


きっと、私が私を許せなくなる。


ねぇ、知ってた?

この道、この曲がり角。


本当は、左なんて存在しないんだよ(・・・・・・・・・・・・)


彼が見ていたのは幻。

本当は存在しない道。


都市伝説を知ってる?「きさらぎ駅」と同じなの。

存在するはずのない、場所なんだよ。


本当は、曲がるつもりなんてなかった。

左に曲がって、右に曲がれば私の家。その通り。


でも、本当は嘘をつくつもりだった。

私の家は、この道をまっすぐ行くのって。


そうしたら彼は送ってくれる。知らない間に、彼を連れて行ける。

彼はそれに気づかないまま、私に騙される。


その、はずだったのに。


また会いたいって、願ってしまった。

楽しくて離したくないって、思ってしまった。


彼を好きだって、愛してるって、望んでしまった。


だから、彼の前から消えるの。

彼の心から、跡形もなく。


安心して欲しい、明日にはすっかり忘れてる。

全てなかったことになるから。


「橋田A」は、初めから。

___ひなたくん、貴方の中には、いないんだよ。








*

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西谷彩香(プロフ) - せみさん» コメントありがとうございます!日向のあの真っ直ぐな感じを活かしてどう作るかを考えた時に偶然登場してた(特に深い意味もないし名前もホントはなかった)合田おじさんが大活躍でしたあっぱれ。そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございました! (2018年10月6日 12時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
せみ - 感動しました!!日向は日向のままでいるとこんな作品が出来るのか、、、!とびっくりしました笑 本当に面白かったです!お疲れさまでした!これからも頑張ってください。 (2018年10月6日 10時) (レス) id: ac69ea21d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2018年8月15日 8時

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