審神者会議

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彼女が帰ってしまい、残されたのは私と来住、そして金霧お兄ちゃんだ。

そう言えば、お兄ちゃんは役人だ。ここに来たということは、帰り方をきっと知ってる。早く戻らないと、さっきあの山姥切国広が言ってたように、私の本丸でも暴動が起きてるかもしれないから。

「お兄ちゃん」

「依馬」

「……私を帰して？」

「……ごめんな、出来ないんだ」

「……じゃあせめて、私は無事だとか、誘拐じゃないとか、彼らが安心出来るように私のことを伝えてほしい」

お兄ちゃんは目を伏せて、じっと何かを考えた後、首を横に振った。

「最善は尽くすけど、それも出来ないかもしれない」

「伝えるだけなのに……？」

「依馬のお兄さん、そんなのおかしいです」

来住も口を挟み、お兄ちゃんが責められるような構図になってしまった。

お兄ちゃんが悪い訳でもないだろうに、きっとなにか事情があるのだと頭では分かっていても、来住の言ったように思ってるのも事実で。

そんな時だった。

またしても、今度は大浴場の方からだと思う。

男の人の声が、聞こえた。

話し合いを中断し、三人で大浴場と思われる方へと進むと、それがある方向から一人の青年が歩いて来た。

綺麗な顔立ちの青年だった。黒の所々に白のメッシュが混ざった髪、黒縁メガネをかけた、その人。

隣で来住が「あの人イケメン……」と呟いてるのが聞こえた。

「どこだよ、此処は!?つーか、何であいつの本丸そっくりそのまま何だよ、一瞬あいつの本丸に迷い込んだかと思っただろうが……」

直後、そんなことを言って人目をはばからず盛大に舌打ちをした。

顔は良いが、性格はキツそうだ。

「……だ、れだよ、お前ら」

は、と私達に気付いたらしいその人は驚いたように動きを止めた状態でそんな言葉を投げてきた。

「審神者、だけど……」

「そうじゃねぇよ。……ここ、何なんだよ？」

メガネの奥の鋭い眼光に貫かれ、思わずたじろいだ。

「……それは俺が。俺は時の政府の役人だ、教えられることは少ないが、話せる範囲で説明する」

お兄ちゃんのその言葉に、青年は鋭い眼光をそのままに、話を促した。

「此処は、擬似本丸。隣り合った異世界の政府同士、仲良くやろうと企画された"審神者会議"の舞台だ」

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