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直後、彩摘さんがパッと背後からこんのすけを抱き上げた。
「そんな怖い顔して何言ってるの!こんのすけ、私達は帰りたいけど無理強いはしないから!まぁ確かに今すぐ依馬ちゃんに会いたくて会いたくて震えてるけどね!」
そう言って頭を撫でると、流石にそれには動物本能的に逆らえないのか気持ち良さそうにし始めた。
それでようやっと落ち着いたこんのすけは、芹葉さんを警戒しつつ、「私は伝達に来たのです!」と当初の用件を口にした。
「伝達って?」
私の問いに、こんのすけは頷いて首元の鈴を鳴らした。
自動的に広がった情報の中から、こんのすけがとあるひとつの情報を引っ張り出した。
「この会議がモニタリングされている事実は周知でしょうか」
「うん、知ってるよ。梓も教えてくれたから」
「えぇ、それで今回の会議で上がった"愛されすぎたが故に危険な本丸"をピックアップしました。今後は政府の上層役人会議での決議後、各時の政府からエキスパートを排出の後、対処に当たるとのことです」
「もうそんなことに……すごいな」
月永さんの呟きはその通りで、私も思わず感嘆の声をもらした。
「そして今政府が求める会議議題は、その件について、その対処に当たる審神者候補としてあなたがたが上がられましたので、それについてを、と」
その直後のその言葉に、「冗談だろ……んな、危ねぇもん……」と声をもらした芹葉さんは最もだった。
まさか自分たちが話し合っていた議題で、自分たちの首を絞めていたなんて。
「勿論、万全の対策で臨むことになっています。基本的に私のような政府のこんのすけを常について歩きますし、危険ですので帯刀及び懐刀の同伴の特別許可が降りる予定です」
「まぁそれぐらいなきゃ割に合わねぇしな」
「ある意味、ブラック本丸より危険そうっす……」
「既にブラック本丸の対処に当たる審神者は存在していますので、これからはそちらの方も強化していくとのことでした。何か、質問、意見等あれば」
もう一度鈴を鳴らして情報の海をしまい込んだこんのすけが顔を上げ、そう問う。
基本不満と不安しかないこんのすけの言葉に、疑問だ質問だよりも「逃げたい」と言う気持ちの方が勝っていたこともあったんだろう。誰も、声をあげなかった。
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2018年7月10日 20時