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何やかんやと研修最終日。

今日の昼過ぎには翡翠ちゃんはこの本丸を去る。


まだしばらく研修は続くらしいけど、私の本丸ではもう教えられることは無い。というか、まともに教えた記憶すらほとんど無いけど。



「主は感覚で生きているんだろう」


「ん?」



私の心を読み取るかのごとく、やまさんが横に現れてそう言った。……多分、ちょっとだけ気を使ったな。



「……やまさん、素直に言って」


「主は本能で生きてるからな。もっと理性を感じる行動をするべきだ」


「よし処す」


「……何故言えと言ったんだ」


「頬が引き攣ってるから本心じゃないのが分かるんだよ」


「……いつも俺が酷いだなんだと愚痴を零していたんだろう、だから避けてやったのに」


「は?愚痴なんてそんなこと言っ……たな」



翡翠ちゃんに何か言った気がする。なにか教える毎に確かに愚痴を零していた気がするぞ。あいつらはヤバいとか、なんか。うん、愚痴ってたわ。

弁明はなし。事実です。



「……そんなに、ひどいか?」


「無自覚だから怖いよね」


「俺は主が好きなだけだ」


「あれだろ、小学生男子の理屈。好きな子は虐めたいみたいな」


「いや、俺は思ったことを言っているだけだが」


「やっぱ処す」



この野郎、無自覚とは言えど流石にキレるわ。

こんなんで「好き」なんか信じないからな。よっぽどやとの方が分かりやすい愛情表現だわ。いや、あれは行き過ぎで怖いけど。



「……と、やまさんと話してる場合じゃなかった」



翡翠ちゃんがここを出るまでもうすぐだ。



「翡翠ちゃんのとこ行かないと」


「何をする気だ?」


「簡単な(まじな)い、ただのお守り。それを渡すだけ」


「見送りはしないのか」


「したかったらしていいよ。私忙しいから残念だけど」


「嘘言うな、長谷部が今日はもう全て仕事が片付いていると言っていた」



何でそう言う時だけ無駄に把握してるかな。



「翡翠ちゃんの前に立つ気は無い」


「何故……、何だ、泣いていたのか」


「うるさい」



涙脆いだけだ。そこは放って置いて欲しい。



「主も人の子だったんだな」


「それだよ」










その日の正午過ぎ、結局ボロ泣きの私と刀剣男士に見送られ、翡翠ちゃんは泣き跡の残る顔に笑顔を浮かべて本丸を去って行った。






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サユリ(プロフ) - はい。楽しみにしているので、更新頑張って下さいね! (2018年4月22日 13時) (レス) id: c69002fcba (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - サユリさん» コメントありがとうございます。更新頻度はマチマチですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです! (2018年4月15日 7時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
サユリ(プロフ) - 凄く、面白いです!更新頑張って下さい。応援してます。 (2018年4月15日 0時) (レス) id: c69002fcba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2018年4月7日 21時

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