15 ページ17
*
「……あんたはぁ、」
「依馬な」
「……依馬はぁ、」
「さん、な」
「…………依馬さんは思わなかったのぉ？」
「何を？」
「見習い時代とかぁ……めんどくさいとか、やめたいとかぁ」
「全く」
「……どぉして？」
「逆に聞くけど楽しいって思わないわけ？ねぇやまさん、私おかしい事言ってる？」
「いつもおかしなことを言ってるだけに主がまともな事を言うから今背筋に寒気が走っていて聞いていなかった。俺に何を聞いた主？」
「お前私の事好きとか絶対嘘だろ」
何だこいつ、初期刀のくせに。せめて私の味方でいてくれよ。いや、そもそも何でやまさんがついてきたんだよ。さよりんは？ねぇさよりんは!?
そう思った矢先、やまさんはほんの少しだけ顔を赤くしたかと思えば、ふいっと視線を逸らして言う。
「主、俺は"やまさん"だろう。"お前"なんて呼ばないでくれ」
「何処でデレてんの」
「いや、でも"お前"……その呼び方も……まるで夫婦みたいで良いな……？」
「おいちょっと待てコラ」
「主、"お前"でも構わない。ただ、俺だけをそう呼んで欲しい」
「好き勝手言うなよ……」
此処に来てずっとこんな会話しかしてないし、こんな姿しか翡翠ちゃんに見せてないな、そう言えば。
どうしよう、これが刀剣男士と思われたら。
もしそうなったらちゃんと謝罪しろよやまさん。クレインとかあつ辺りを連れて。
そうこうしてる間に鍛刀が終わり、"小さき人"が嬉しそうにパタパタと打ち終わりを教えてくれていた。
私はそれを受け取り、ほんの少しだけ霊力を込めてから翡翠ちゃんに渡す。
「霊力込めて、顕現してみて。喚べば顕現するから」
心の中で「多分」と付け足して。
翡翠ちゃんは私から鍛刀を受け取って困惑した様子を見せ、それから何となく何かをイメージするように目を閉じて短刀を握りしめる。
そのうちその短刀が光り始め＿＿＿現れたのは、見覚えのある少年。
「よお大将。俺っち、薬研藤四郎だ。兄弟ともども、よろしく頼むぜ」
……いつ見てもイケショタだな。五体満足。しかし可愛い。
薬研藤四郎は一瞬私の方を見て、きょとんとした顔を向けた後、何を納得したのか小さく「なるほどな」と呟き、翡翠ちゃんにニッと笑みを見せた。
「あんたが俺の大将(仮)だな？」
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 75人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サユリ(プロフ) - はい。楽しみにしているので、更新頑張って下さいね！ (2018年4月22日 13時) (
レス) id: c69002fcba (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - サユリさん» コメントありがとうございます。更新頻度はマチマチですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです！ (2018年4月15日 7時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
サユリ(プロフ) - 凄く、面白いです！更新頑張って下さい。応援してます。 (2018年4月15日 0時) (レス) id: c69002fcba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：西谷彩香 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時：2018年4月7日 21時
