恐怖は突然に 3 ページ30
*
振り払って走ろうとしたけど、私の腕を掴んでいたはずのその手は、いつの間にか私を後ろから抱きしめるように回っていて、逃げられなくなる。
恐怖で、固まる私。
そんな私の耳元に聞こえてきた声は。
「先輩。」
唯一、私の名前を呼ばない人。
私を「先輩」と呼ぶ、私の後輩。
「…く…っ…くに、み…」
情けないほどに震えた声で呼べば、国見は嬉しそうに笑う。
「やっと、先輩に会えた。俺、先輩の家で待ってたのに、先輩すぐに出ていくから、追いかけてきちゃいました」
「…ぁ…っ、赤葦く、」
「今すぐAから離れて」
赤葦くんは私たちの方に来ると、鋭く国見を睨んでそう言った。
私の腕を掴んで。
「…ちょっと、先輩に触んないでよ」
「そっちこそ、ただの後輩でしょ。Aを離しなよ」
「先輩は、俺たちだけの先輩だから。だから、俺はいいの。ねえ、先輩？」
カタカタと震える私の腕を掴む赤葦くんの力が強くなる。
「Aを所有物みたいに言うとか、頭おかしいんじゃない？」
「なんで？」
「…は、？」
「先輩が、所有物とか。あんたこそ喧嘩売ってるの？先輩は、」
「…だからさ、"俺たちだけの"って、何？君、青葉城西高校男子バレー部の人でしょ。Aから聞いてるけど、Aが君たちから離れたのはさ、君たちのせいでしょ。今更Aを取り戻そうとか、何をどう考えたらそんな考えに辿り着くの？」
赤葦くんは、私が言いたいことを代弁するかのように言ってくれて。
それから、ぐいっと私の腕を引く。
今の話で少しだけ力が緩んでいた国見の手から、簡単に私は逃れて、今度は赤葦くんの胸元に飛び込む形で収まる。
「俺は、Aの事、少しは分かってるつもり。だからAが強いのも知ってる。だからこそさ、そんなAがここまで怯えるトラウマがあんたたちだって言うなら、見過ごせないよね。今のAの仲間は俺たちだから」
仲間、俺たち。
それを強調して話した赤葦くんの言葉に、国見は眉をひそめた。
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西谷彩香(プロフ) - ?ルナ??さん» そう言って頂けて良かったです！ありがとうございます!! (2017年1月30日 22時) (
レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
?ルナ??(プロフ) - すっごい面白がったです！！泣きました！！ (2017年1月30日 21時) (レス) id: 4edd0d369a (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ふじとーさん» ありがとうございます！そう言って頂けたなら光栄です！ありがとうございました！ (2017年1月28日 14時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
ふじとー(プロフ) - 泣いた。素晴らしい作品をありがとうございます。完結までお疲れ様でした！ (2017年1月28日 14時) (レス) id: 4901deebb9 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - マカロン♪@塩きゃらめるさん» いえ、コメントありがとうございます！何が普通かは、分からないところもありますが私なりの、ある意味でのハッピーエンドを目指しました。そう言って頂けて良かったです、ありがとうございました！ (2017年1月26日 23時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西谷彩香 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時：2017年1月20日 1時
