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崩壊へのカウントダウン 2 ページ26

*








小さく、俺は答えた。



「…分かりました、話し、ます」



それが、最善策だとは思えないけど。
そんな言葉を飲み込んで。

朝練では時間が無い。
今日の放課後の時間を部集会に当てて、話すことになった。









放課後、準備をしている俺の元に、渡が来た。



「矢巾、部活行こう」



普段そんな事なんか言わないくせに、なんでこう言う時だけ優しいんだよ。

そう思いながら、俺は小さく「…おう」と返事をして準備を終わらせると、鞄を持って渡と並んで体育館へ向かった。


珍しくも制服のまま体育館に入ると、もう既に全員が集まっていた。



「待ってたよ、矢巾ちゃん」


「…こんにちは」


「矢巾ちゃんこっち来て。何を俺たちにあんなに話したがらなかったのか、それはもう今はどうでもいい。…話して、矢巾ちゃん」



及川さんのその言葉で、俺は及川さんの側まで歩いて行き、そこに座って、ゆっくりと話し始めた。



「……驚かないで聞いてください」


「並大抵の事じゃもう驚かないから」


「……この前発売された、月刊バリボーを見て、いてもたってもいられなくなって…俺、東京に行きました」



ざわめきが起きたのと、一軍メンバーの人たちの目が見開かれるのは同時だった。



「……梟谷学園高校の前で待ち構えて、俺、アイツのことを待ちました。それで俺、………アイツに、会いました」



その瞬間、酷く静まり返った体育館の真ん中に、俺はいた。

それから数十秒、異様な空気が流れ…やっと、その空気を切るように話し出した、声が。



「……アイツに、会ってきたのかお前…?」



花巻さんの声が、やけに響いた。
俺は、その声に答えるように、小さく頷いた。









*

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西谷彩香(プロフ) - ?ルナ??さん» そう言って頂けて良かったです!ありがとうございます!! (2017年1月30日 22時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
?ルナ??(プロフ) - すっごい面白がったです!!泣きました!! (2017年1月30日 21時) (レス) id: 4edd0d369a (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ふじとーさん» ありがとうございます!そう言って頂けたなら光栄です!ありがとうございました! (2017年1月28日 14時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
ふじとー(プロフ) - 泣いた。素晴らしい作品をありがとうございます。完結までお疲れ様でした! (2017年1月28日 14時) (レス) id: 4901deebb9 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - マカロン♪@塩きゃらめるさん» いえ、コメントありがとうございます!何が普通かは、分からないところもありますが私なりの、ある意味でのハッピーエンドを目指しました。そう言って頂けて良かったです、ありがとうございました! (2017年1月26日 23時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2017年1月20日 1時

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