崩壊へのカウントダウン 1 ページ25
*
次の日、俺はふらふらと歩いて登校する。
昨日の夜、親にはすごく怒られた。学校をサボって東京に行っていた事がバレて、それはもうひどく心配されたけど、明日はちゃんと行け、と言う言葉で、やっと解放された。
朝練があったから、俺はその時間に合わせて学校に向かい、体育館に入る。
「…おはよーございまーす」
緩く、いつも通りに。
俺は体育館の中に入る。
「矢巾ちゃん！」
「矢巾！」
すぐに俺に気づいて寄ってきたのは、言わずもがな及川さんと岩泉さん。
「昨日、無断欠席したんだって？」
「サボったってほんとか？矢巾」
俺はそれにどう答えていいのか分からず、俯いた。
「…………すいません」
俺は弱々しく、そうとしか返せなかった。
「謝罪じゃなくてさ…あ〜もう！昨日！学校サボってまで何処行ってたのか言って、矢巾ちゃん」
「矢巾」
俺は、何故か口を閉ざした。
言えばいいのに。でも、言ったらきっと、壊れてしまうのが分かっていたから。俺は、言えない。
「矢巾ちゃんの事だしさ、理由もなくサボるとか無いって俺は信じてる。だから、それ相応の理由があったんでしょ？俺たちに話して？」
それでも口を開かない俺に、及川さんは声を低くしてもう一度言った。
「…俺たちに、話せないこと？」
「…っ」
「言って」
「……言え、ません」
「何でさ、俺たちに言えないことって何、矢巾ちゃん」
「…言えないんです、」
そうとしか答えない俺に、ついに及川さんも煮えを切らしたのか、目を鋭く釣り上げて、静かに俺を呼んだ。
「矢巾。」
蛇に睨まれたカエルのように、体は動かなくなる。
「俺たちは。…これ以上、もう失うものもないし、恐れることもない。俺たちに言えない事なんて、よっぽどの話以外は言えるはずだよね？」
覚悟は出来てる、と言わんばかりの及川さんに、言えない、そう思っていた俺の心は揺れて、口はゆっくりと、それを語り出す。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 294人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ハイキュー」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
西谷彩香(プロフ) - ?ルナ??さん» そう言って頂けて良かったです！ありがとうございます!! (2017年1月30日 22時) (
レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
?ルナ??(プロフ) - すっごい面白がったです！！泣きました！！ (2017年1月30日 21時) (レス) id: 4edd0d369a (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ふじとーさん» ありがとうございます！そう言って頂けたなら光栄です！ありがとうございました！ (2017年1月28日 14時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
ふじとー(プロフ) - 泣いた。素晴らしい作品をありがとうございます。完結までお疲れ様でした！ (2017年1月28日 14時) (レス) id: 4901deebb9 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - マカロン♪@塩きゃらめるさん» いえ、コメントありがとうございます！何が普通かは、分からないところもありますが私なりの、ある意味でのハッピーエンドを目指しました。そう言って頂けて良かったです、ありがとうございました！ (2017年1月26日 23時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：西谷彩香 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時：2017年1月20日 1時
