検索窓
今日:10 hit、昨日:15 hit、合計:452,315 hit

ラストチャンスと、絶望 ページ24

*








次の日、お父さんと2人じゃ気まずいだろうとは思ったけど、そんな理由で学校は休めない。

しかし、お母さんが学校に「具合が悪いので…」なんて連絡を入れて、私も一緒に行くことになった。



道中、車の中は葬式にでも向かっているのかというほど静かだった。

数時間後、仙台駅に到着した。


お父さんは私に新幹線代を渡して、帰りはこれで帰りなさい、と言って出張先に行ってしまった。

宮城まで送った、それだけで終わりだ。
私はすぐに新幹線乗り場へと足を勧めた瞬間。



「…離してくれる、帰れないんだけど」


「離さない、お前が嫌がったって何だって、ここまで来たんだ…俺たちの話を、聞いてもらう」


「嫌だけど。何で全てを否定されて出てきたとこの人たちの話しを聞かなきゃいけないの?私に何のメリットがあるの?」


「誤解が解けるから。…戻ってきて欲しいって思ってる。…戻りたいって、思えるから。絶対」


「戻らないって言ってるでしょ、しつこい」



私は矢巾の手を振り払って、鋭く睨みつける。

それでも矢巾は引き下がらない。



「もう、お前を傷つける奴は居ないんだよ!……邦城だって、及川さんが強制退部させて…っ」


「だから、何?頼んでも無いこと勝手にやって、それが私のためとか…笑わせないでよ」


「…っ、分かってるけど!それでも俺たちはお前じゃなきゃ…!」


「私は、梟谷の人たちじゃないと嫌だけど。結局最後にどうするかを決めるのは自分なの。説得でも何でも勝手にすれば良いけど、どうするかは私が決めることなの。…自分のエゴで、私を縛り付けないで」



そうして私は颯爽と歩いて新幹線乗り場へと向かう。

だけど途中で立ち止まって、振り返る。



「…あ、ねえ矢巾。最後に良いこと教えてあげる」



恐らく、もう彼らに見せないだろうと思っていた笑顔を顔に貼り付けて。



「私、矢巾が私の事好きだって知ってたよ。だから期待してたんだけど…その期待に、応えてくれてたなら、きっと転校はしなかっただろうね」



最後の最後まで、矢巾に、絶望を植え付ける。









*

崩壊へのカウントダウン 1→←今更と後悔 4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (191 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
294人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

西谷彩香(プロフ) - ?ルナ??さん» そう言って頂けて良かったです!ありがとうございます!! (2017年1月30日 22時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
?ルナ??(プロフ) - すっごい面白がったです!!泣きました!! (2017年1月30日 21時) (レス) id: 4edd0d369a (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ふじとーさん» ありがとうございます!そう言って頂けたなら光栄です!ありがとうございました! (2017年1月28日 14時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
ふじとー(プロフ) - 泣いた。素晴らしい作品をありがとうございます。完結までお疲れ様でした! (2017年1月28日 14時) (レス) id: 4901deebb9 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - マカロン♪@塩きゃらめるさん» いえ、コメントありがとうございます!何が普通かは、分からないところもありますが私なりの、ある意味でのハッピーエンドを目指しました。そう言って頂けて良かったです、ありがとうございました! (2017年1月26日 23時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2017年1月20日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。