好⇔歪 (ページ9) - 小説/夢小説

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それでもページ9

*

「…私の……全て？」

「そう。…言っとくけど、僕は本気だから」

本気で好きだから、山口と話してるのも、許せなかった。
でも、本気で好きだから、山口と話してたのも許そうと思った。

「もう、僕以外を見ないなら…ね」

大きく見開かれたその目は、僕に向けられた。
そして、絞り出すかのように声を出した。

「…な、に、言ってるの…？蛍が好きだから付き合うじゃん…蛍以外見てな…」

「僕が言ってるのはそう言う事じゃないから。だってさっき、山口を見てたデショ？」

「そ…それは仕方ないじゃん、蛍以外とそりゃ喋るよ！喋らないは無理だし、見るなも無理に決まってる！何で…そう言う事言うの…？」

僕よりもだいぶ背が低い彼女は、僕を見上げてそう言った。涙目になっていて、それはそれで可愛いと思った。
余計、他の人とAが話す、と言う事が許せなくなって。

「…僕だけで良いんだよ。Aの事を、全て知って、全て愛すのは…」

その言葉を発してから、彼女は開いた口が塞がらないと言った様子で僕を見上げた。

「…この感情は、Aからしたら異常なものかもしれないけど、さ。これが僕の愛だから。…僕が好きなら、受け止めてよ」

こればかりは僕も、自信はなかった。
此処まで怖がらせて、それでも好きだなんて、彼女は言ってくれるだろうかと。

でも、彼女が発した言葉は意外なものだった。

「…受け止められるかは分からない。でも、蛍の愛は感じる。私も蛍が好きだから、それが本心だとするなら、出来る限り控えるよ」

涙を拭って、彼女はニコ、と笑顔を浮かべ、僕を見た。

*