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人はみんな ページ7

*








Aが、何も言わない事に少しだけ苛立ちを感じて顔を上げると、Aは言った。



「やっと、こっち向いた〜。顔上げるの待ってたよ」


「…A、」


「やっぱりそうだよねぇ、男女間の友情ってなかなか成立しないよね。…でもまさか、自分が好かれるとは思ってなかったから…ビックリした」



その言葉の後、Aはたった一言。



「私で良ければ、よろしくね」



それが、僕たちの交際の始まりだった。
その日の部活は、お互い遅い時間まで残る事もあって、帰りは一緒に帰る、と言う事にした。

ちなみに、当然遅れて行ったので怒られるかと思ったが、山口が何かを言っていたらしくて怒られる事はなかったものの、いつも以上に田中さんや西谷さん、日向に絡まれた。









時刻は夜7時半。
まだほんの少し明るみが残った、仄暗い時間帯。校門の所でAを待つ。
山口には、今日は帰れないから先帰って、と言って帰ってもらった。多分、その理由を山口は察してるんだろうけど。

少し待っていると、Aが現れた。



「待った?」


「…別に」


「そっか、ゴメンね。帰ろっか」


「家はどの辺?」


「え?あー…っと、雪ヶ丘方面!まあ、流石に雪ヶ丘までは行かないんだけど」


「そう」


「蛍は?」


「…同じ方。送るから」


「ありがと、蛍」



その会話は確かに、カップルのそれだ。
だがその時既に、僕の中でAは、大切な存在になりすぎていた(・・・・・・・・・・・・・)

あの女に言ったこと、もし、Aに何かあったら僕はその通りにしかねない、と思う程に。







*

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2016年3月9日 19時

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