国定図書館の暗殺者 (ページ17)

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注意の時間ページ17

「よっしゃー出番だぜ」
　「どーれ、手紙届いってかなぁ」
　「お、これじゃねぇか」

　中原中也と若山牧水は手紙を開いた。

　暗転

　パッと電気がついた。中原と牧水の代わりに立っていたのは江戸川乱歩と小泉八雲だった。面白そうに鍵を弄ぶへるん先生。

　「上手くいきましたネ！乱歩サン」
　「えぇ、上出来です。小泉さん」

　嬉しそうに床に落ちていた手紙を回収する。実はこの手紙、開くと潜書する要領で食堂に行ける様に成っている。

　「前回は北原サン達に捕まりましたからネ！((｀ε´)」
　「えぇ。しかし、今回は大丈夫です。その点も確りと確認しておきましたから」

　そう云いながら本来開くはずの手紙を開く。赤い蝋で封がなされたその手紙は作者からの伝言だ。

　「エート、“前回を読まれた方はお解りかと思いマスが”……。乱歩サン、この漢字は何と読むのですか？」
　「これは…渾名。あ・だ・な、と読むのですよ」
　「“あだなをつける話デス”。ア、私も居ましたよ！！」
　「そのようですね。えっと、“文豪の逸話ですが間違っている場合がございます。ご了承ください。”とのことです」

　へるん先生はおや、と云う顔をした。あるはずの無いもう一つの手紙をひろげる。其れを見た乱歩が焦った顔をした。

　「や、八雲さんstop！！」
　「What？」

　暗転

　「ッ、しくじりました」
　「申し訳ないデース」

　パッと電気が付いた。立っているのは井伏鱒二。

　「何だ此処。ん？此は……」
　
　床に落ちていた立て看板を立てた。

　「ん？宣伝？オジサンなんかで良いのかぁ？」

　「じゃあ、俺もやろう」
　「佐藤先生」
　「宣伝か……何々」
　「文豪すとれいどっぐすって何でしょう？」
　「さぁ」
　「取り敢えず、宣伝するか。井伏」
　「はい」

　二人で看板を持ち上げると、カメラに向かってスマイル。

　「日替わり占い“文豪さん達がラッキーアイテムをくれるらしい”です。“是非、見て下さい、
　リクエストも受け付けてます”。そういえば、此には俺は出てないなぁ。井伏もだろ」
　「はい。出てません」
　「……」
　「…えーと、俺、せ、宣伝しますね。あれ、此だけか」
　「その様だな」
　「これからも宜しく頼む」
　「頼むぜ！！」

　看板をカメラ前に立てかける佐藤先生。井伏はカメラを止めた。

　「おい、俺ら全然出てないじゃねぇか！？」
　「酒が貰えんなら、良いじゃねぇ－か」
　「お、貰えんのか？俺も俺も」