春色無鉄砲ボーイ【赤】

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ご飯も食べ終わってめっちゃ楽しく話してた話もひと段落ついたんやけど。






俺がまだ、一緒におりたいって思うのもあるねんけど…





たまに見せる、寂しそうな表情がどうも気にかかる。





料理もめちゃくちゃ慣れてたし、もともとご飯作る予定って言うてたし、親御さんは仕事らしけど。




平気なフリして、ほんまは結構寂しいんやろなって、なんとなく思ってん。





やからもうちょい勉強やりたいって言うたら






めっちゃ嬉しそうに笑った。






でもその後の“親帰ってこーへんし”に、今更ながら緊張した。





いや帰ってこんもんな…二人きり、やねんな。





先に部屋に戻ると、ずっと気になっていた本棚を眺める。





ん？なんかこの本だけちょっと出てるやん。






…いやほんまにごめんな？




ちょっとだけ手に取らせてもらうと、料理の本らしい。




ん、付箋付いとる。




…あ、ここ結構近くの料理やさんやん。





…ここ行きたいんや。覚えておこ。





元の場所に戻してみると、料理の本が多いことに気づく。





…めっちゃ料理うまいしな。





あ、進路系の本あるやん。




ちょっとだけ手に取らせてもらうと、また付箋が付いている。




…ここの大学行きたいんや。





…おれの頭脳やったら絶対行けへんわ。





ってことは、やけど。そんなん前から気づいてたことやけど。





あと一年もせずに、離れるんやな。





朝学校で毎日抱きつかれることも、




休み時間になれば必ず“重岡くん！”って話けてくることも、あ、今は大毅！やけど…




ましてや、こうやって放課後勉強したりとか、




絶対できひんくなるんや。






この大学、県外やしな。






寂しい、って思ってしまう。





俺の日常にはもうAが当たり前のようにおるんやけど。






……どうしてくれんねん、あほ。





階段を登る音がして、急いで本を戻してペンを手に取る。









…俺、同じ大学目指す。







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