7.船員、コロりと騙される ページ8
．
side crew
｢……それで、こいつは？｣
｢あー、それが……。船長室にいたんですよね｣
｢つまりお前らは誰かも分からずここまで連れてきたのかよい｣
頷くと、はぁ、と呆れたようにため息を着くマルコ隊長に首をすくめた。
仕方ないじゃないか。
あんなに震えて怯えられたら、こっちが悪者みたいだし。
何より、あの船の唯一の生き残りだ。
他の船員は、全員死体になって船首と船尾に固められていた。
腐敗具合から、死んで1週間と言ったところだろうか。
まさかこんなか弱そうな女があれだけの数を殺せるはずもないし、とりあえずモビーの甲板に連れてきた訳だ。
｢ハァ……おい、お前名前は？｣
｢……A、です｣
｢A、なぜお前はここにいた？｣
｢っ……さらわ、れて。従わないと故郷を、燃やすと｣
｢……この船の船員が全員死んでた。心当たりはあるかよい？｣
｢……私がこの船に乗った時に、その。……誰が最初かを決めると……。そのあと、……っ｣
ぶる、と一際大きく女の身体が震えた。
なるほど、よほど女に飢えて殺し合いを始めちまったのか。
億超の賞金首も、3大欲求の本能には勝てなかったらしい。
｢あの、私はこれから……｣
どうなるの、と囁くようにいって、女は周りを見渡した。
その瞳には怯えが見える。
当然だろう。大勢の厳つい男に囲まれて、普通の女が怯えないはずも無い。
プルプルと震えて目いっぱいに涙を溜める小動物のような彼女は、どう考えても被食者側だ。
未だ彼女を怪しんでいるマルコ隊長だけど、この女性があまりにも不憫だ。
いつもはあまり意見しないけど、今日はどこからか吹いた
｢マルコ隊長、そんなに追い詰めると可哀想ですよ｣
｢そうっすよ、この人はどう考えても被害者側じゃ？｣
｢故郷の島まで送り届けてやりましょうよ｣
そうだそうだ、と周りのクルーからも声が上がる。
よかった、俺だけじゃない。
いつの間にか、この女性を────Aを守ろうという空気が出来上がっていた。
｢……？お前ら……｣
訝しげな表情を浮かべて何か言おうとするマルコ隊長の声は、それより更に大きい声で留められた。
｢グララララ……騒がしいな。どうした、息子達よ……！｣
｢オヤジ！｣
視界がクリアになった。
8.陽キャ、引き際を心得る→←6.陽キャ、自己の確立が済んでいる
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あ - とってもこの小説面白いです❗️続き楽しみです❗️ (2022年5月9日 7時) (
レス) @page25 id: 10e7663963 (このIDを非表示/違反報告)
寿 ライラ(プロフ) - この小説面白いです！！続き楽しみです！！待ってます！！！ (2021年8月26日 1時) (レス) id: 3d43c01a40 (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(プロフ) - えー！びっくりです嬉しい(ToT)また絡みにきますイゾウが素敵‥ (2021年6月28日 15時) (レス) id: 5ba219b0db (このIDを非表示/違反報告)
コンソメおぢさん(プロフ) - 嫁子ちゃん。さん» ﾜｰｯコメントありがとうございます！私も嫁子ちゃん。様の小説大好きです！まちまちになると思いますが、更新頑張ります！！ (2021年6月28日 13時) (レス) id: 1f42978bef (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！更新楽しみにしてます、無理せず頑張ってください＼(^^)／ (2021年6月28日 12時) (レス) id: 5ba219b0db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コンソメおぢさん | 作成日時：2021年6月22日 14時
