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.YG side
気が立っていた。
いつもでは考えられないくらい。
何か特別に嫌なことがあったわけじゃない。
ただ、毎日の中で積もり積もったものが
崩れ落ちるみたいに
火をつけた導火線がやがて爆発を招くように
「ヒョン、なんか機嫌悪いね」
「………」
「あー無視するんですか、え〜い」
そんな日は1人になりたいに決まってる。
しかしこの目の前の男、
キム・テヒョンがそれを許すはずもなく
いつも通り放課後の空き教室、
作業の邪魔をされているのだ。
「ヒョン、今どんな曲書いてるんですか」
「……」
「ヒョン、…ねぇ、白雪王子」
「…その呼び方やめろ」
「あ、やっと反応してくれた」
“白雪王子”
俺のことを何にも知らないヤツらが
ただ、容姿だけを見てつけたあだ名
俺がそう呼ばれるのを嫌がることを知ってるくせに
構ってほしいのかわざとそう呼んで
案の定反応した俺に
椅子をギシギシ前後に揺らして
満足げに、んふふ、と笑う彫刻のような顔。
「早く帰れバカ」
「俺が帰ったら寂しいでしょ」
「…殺すぞ」
「ふふ」
冗談じゃないですか、とまた笑う
いつからか、急に懐かれてしまった
2つ年下のこの男
テヒョンといると、不思議なことに
心がふっと軽くなる。
それまであった苛立ちすらも
どこか消えて無くなってしまう
小さい子供を見ているような、そんな感じ。
そのくせ、途端真顔になって
今日何かあったんでしょ、だなんて
変に勘がいいものだから
つい、作業も滞るわけで。
「こいつ、知ってるか」
「?」
真っ黒のスマートフォンを差し出すと
それを見つめて、テヒョンが首を傾げた。
画面に映るは、昼間のストーカー女。
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おバカな莉久(サブ) - 初めまして!この小説面白いです!いつも画面で見る笑顔のSUGAと間逆だけどそこがいいって言うか。何よりギャップよきよきです!←私は最近ハマッタばかりですけど(笑) (2022年2月18日 23時) (レス) @page3 id: ddd40ab2e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たちばな | 作成日時:2022年2月17日 21時