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101 山の獅子(6) ページ8

背の低い彼に合わせて少し腰をかがめてそう聞くと、「あ、うん!」と我に返ったように大きく頷いた。


「さっきそこで会ったにーちゃん、ええとオビだっけ?
その人にお姉ちゃんを案内してくれって頼まれた」


「わー……」


間抜けな声が知らず口から漏れる。
目覚めたことも歩いていくことも全てお見通しだった。
素直な驚きと賞賛、そして少しばかりの畏怖が湧いてくる。

少年のことも忘れ微妙な顔になったAに「どうかした?」と不安そうな顔が見上げてくる。


「あ、ごめん何でもないよ。私の仲間のところに連れてってくれるのかな?」


「うん!じゃ、はい」


慌てて笑顔を作ってみせると少年も安心したように笑い。
Aに左手を差し出した。


え、何。
意図を掴み損ねて戸惑ったが「手!」と急かされようやく理解する。


おずおずと小さな手を握った途端、ぐいと引っ張られる。
慣れない感覚に戸惑いはするが嫌では無い。むしろ懐かしさに胸をくすぐられるような、不思議な心地だ。


Aは子どもに甘い。
それは彼女自身が無意識のうちにかつての自分を重ね見ているからだ。

天真爛漫で幸せそうな姿を見ていると、ほんの一瞬でも過去が上書きされた幻を見られるから。


だから、今だって。





人懐っこい少年は好奇心旺盛でもあるらしい。
クラリネス王国やお城のことなど彼の興味に終わりはなかった。


「Aおねーちゃんって強いんだろ?鹿月に勝てる?」


「戦ったことが無いから……どうだろ」


「じゃあイトヤとは?」


「あー……1発では負け、なかった。かと」


口に出してから恥ずかしくなる。
すっかり気が緩んでつい大きなことを言ってしまった。

が、「すっげえ」と喜ぶ少年はそんな様子に気付く様子もない。
そのまま自分の話もしてくれた。

つい最近ここに引き取られたこと。武風に憧れていること。「早く強くなって力になりたいんだ」そう笑う少年に過去が重なった。


「なれるよ」

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設定タグ:赤髪の白雪姫 , オビ   
作品ジャンル:アニメ
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七草(プロフ) - 紗夜さん» お返事くださっていたのにすみません!!全く気付いておりませんでした!己の睡眠欲に負けないよう頑張ります!ありがとうございます!!! (2021年8月16日 10時) (レス) id: 36eff566e0 (このIDを非表示/違反報告)
紗夜(プロフ) - 続きを…続きをください! (2021年6月26日 4時) (レス) id: 5c2d649dea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:七草 | 作成日時:2021年5月4日 20時

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