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106 夜会 ページ13

ラジの計らいにより改めて夜会を開くことになり。
挨拶もそこそこにAと白雪は別室へと案内された。

部屋で待っていたのはいつかと同じように目を輝かせた女中さん達。
くるくると忙しく、しかし楽しそうに動き回る彼女達はあっという間に身支度を済ませてしまった。


身に纏ったドレスは以前と同じようにイザナが見繕ったものだ。
何もなければ使わないだろうね、と言った彼はどこまで見通していたのだろうか。
相変わらず底知れない人だ。


姿見に自分を映してみる。
首元の詰まった深い緑色のドレスは腰の上まで刺繍が施してあり、その下は何重にも重なった薄いレース地が広がっている。
羽織りものとして羽衣のように薄くて柔らかいボレロと、真っ白な長手袋。


着飾る自分にまだ完全に慣れたわけではないが、綺麗な衣装だと思うくらいには心の余裕が生まれたらしい。

鏡の中の自分は思ったより柔らかい顔をしていた。






優雅な音楽とともに白雪とラジが踊っている。
広間中の視線を集めくるくると回る2人はさながらお姫様と王子様のよう。まあ片方はその通りなのだが。

白雪の少しぎこちない動きもラジが上手くリードしている。
さすが芸術面には長けていると豪語しただけあるなあ。とかなり失礼な感想を抱いていると、目の前が陰った。


「不要かもしれませんが」

「いえ、ご丁寧にどうも」


隣に並ぶように立ったサカキからグラスを受け取る。

思えば、この距離から彼を見るのは初めてかもしれない。
端正な横顔を見上げながら思い返す。

ラジを除き2人で会話した覚えは……ない。
それはAの社交性の問題だけではないだろう。
白雪や、あのオビとでさえも話しているのをあまり見た覚えがない。


「どうかされました?」


じっと見つめる視線に気付かれないはずもなく。
こちらを向いたサカキに「あ、いえ」と苦笑いした。

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設定タグ:赤髪の白雪姫 , オビ   
作品ジャンル:アニメ
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七草(プロフ) - 紗夜さん» お返事くださっていたのにすみません!!全く気付いておりませんでした!己の睡眠欲に負けないよう頑張ります!ありがとうございます!!! (2021年8月16日 10時) (レス) id: 36eff566e0 (このIDを非表示/違反報告)
紗夜(プロフ) - 続きを…続きをください! (2021年6月26日 4時) (レス) id: 5c2d649dea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:七草 | 作成日時:2021年5月4日 20時

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