95 再会2 ページ2
灰色の景色が一転して夕陽に染まった。
久しぶりの日光に眩む目の代わりに、耳が足音を拾う。
迷い無く一直線に近づいて来るそれは見えなくても誰のものかわかる気がした。
慣れてきた視界に赤い髪が映る。
しかしオビに抱き上げられているAからは俯いた白雪の表情は窺えなかった。
唯一見える口元は固く結ばれている。
「……怒ってる？」
恐る恐る投げかけた質問に彼女が黙って上を向く。
ギュッと眉根を寄せ、苦しげにAを見据える瞳が彼女の答え。
Aがこの表情を見たのは2回目だ。
船の中で手当てをしてもらった時。怪我を大したことないと言ったAに対して彼女はこんな顔をしていた。
あの時は宮廷薬剤師としての責任感からだと思っていた。
だけど少しだけ。少しだけ自惚れてしまって良いだろうか。
「心配してくれてありがとう」
謝った方が良かったかもしれないと不安になったのも束の間。
ふっと顔を明るくした白雪ははにかむように笑った。
そのままAの髪をくしゃくしゃと乱す。
親しみのこもったそれがくすぐったい。
至近距離で嬉しそうな顔を見るのが気恥ずかしくなって、遠くを盗み見る。
が、目が合ったミツヒデも木々も同じように笑っていた。
妹を見るような優しい表情にやっぱり照れ臭くなりまた目を逸らす。
今度は男の人と目が合った。
茶色に少しだけ赤色が混じった髪を持った、優しそうな人だ。
きっと山の獅子だろうが誰だろう。誰かに似ているようなそうでもないような感じだ。
そんなことを考えつつぼんやりと見ていると、白雪がそれに気付いたらしい。
髪から手を離してAの視線を辿る。
あぁ、と納得したような声を出してくすりと笑う。
「実はね、あの人お父さんなの」
「……え」
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七草(プロフ) - 紗夜さん» お返事くださっていたのにすみません！！全く気付いておりませんでした！己の睡眠欲に負けないよう頑張ります！ありがとうございます！！！ (2021年8月16日 10時) (
レス) id: 36eff566e0 (このIDを非表示/違反報告)
紗夜(プロフ) - 続きを…続きをください！ (2021年6月26日 4時) (レス) id: 5c2d649dea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七草 | 作成日時：2021年5月4日 20時
