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改めて近くで見ても、オビの服にはあまり血が付いていなかった。
彼は飛び道具も扱うが、この狭い船内では接近戦の方が主となったと思うのだが何故だろうか。
そんな疑問は進むうちに解決した。
船内に倒れている海賊の多数が手や足がありえない方向に曲がっている。
確かにあまり血が出ずに戦意喪失するだろう。
そんなに簡単に折れるのか疑問だが。
「……全部オビ1人で？」
「伊達に裏稼業やってないからね」
唐突な質問でも意図を理解したらしい。
ぎらりと獰猛な光が宿った。
込められた力が強くなった気がして、慌てて質問を変える。
「し、白雪たちは？」
「無事だよ。
どうも意識がある3人は先に連れて行って、気絶していたA嬢は後で回収する予定だったみたいだね」
「ああ、通りで居なかったんだ。
……みんなに迷惑かけちゃったなあ。怒ってる、かな」
「さあねえ。聞いてみたらどうだい」
聞く？と聞き返したAの髪が下からの風にあおられる。
誘われるように下を向くと、いつの間にか甲板の縁に立っていた。
船の外は薄暗い洞窟だった。
少し先には階段もあり、外へと繋がっているようだ。
だが、今Aにそれを考える余裕はなかった。「え」と思わず声が漏れる。
「随分と遅かったが……元気そうだな？」
薄暗くても銀色の髪が輝く。
安堵の中にからかうような表情を浮かべた第二王子が待っていた。
「ゼン、だ」
色々言いたかったことはうまくまとまらずに結局そんな言葉になる。
頭上の彼が少し笑った気配がした。
「さて、降りようか。
しっかり捕まっててね」
言うが早いか、視界が揺らいだ。
体が投げ出される感覚に思わずぎゅっとオビを掴む。
自分で降りるのとは全然違うものらしい。
無事に着地したとわかっても、心臓が激しく音を立てている。
流石に飛び降りてくるとは思わなかったのだろう。
ゼンも少し固まっていたが、やがてため息をつき2人の側に近づく。
まだ硬直したままのAの頭を撫でる。
暖かくて優しい手は、彼がどう思っているか知るには充分すぎて。
「無傷とは言えんようだが、無事なら良い」
「ご、めんなさい。ありがとう。助けに、来てくれて」
「ありがとう、か」
たどたどしい感謝の言葉にもゼンは嬉しそうに笑った。
「さ、帰るぞ」
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七草(プロフ) - 紗夜さん» お返事くださっていたのにすみません！！全く気付いておりませんでした！己の睡眠欲に負けないよう頑張ります！ありがとうございます！！！ (2021年8月16日 10時) (
レス) id: 36eff566e0 (このIDを非表示/違反報告)
紗夜(プロフ) - 続きを…続きをください！ (2021年6月26日 4時) (レス) id: 5c2d649dea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七草 | 作成日時：2021年5月4日 20時
