44 王城開放日(4) ページ45
「ただいま戻りました。
あれ、カイ殿とシイラ殿だ。お疲れ様です」
戻ってきたAは目を丸くした。
最近は表情豊かになられたよなあ、とシキトは目元を和ませた。
自分たちに見せていたのは形式的な笑顔が多かった分、素の表情を見られるたびに嬉しくなる。
「はい！A殿お疲れ様です」
カイも同じように思ったのか嬉しそうに答えた。
「お疲れ様です」と続けたシイラもカイほど顔に出していないが穏やかな顔をしている。
「あ、そうだ！
A殿はお聞きになりましたか？先ほどやっていた劇について」
「えーと、騎士役の人がかっこよかったらしいですね。
機敏かつ優美な動作とか」
その批評はシキトも聞き覚えがある。
共に見張りをしていた時、興奮した様子の女性が熱弁をふるいつつ歩いていたからだ。
「そうなんですよ！
その騎士役をゼン殿下がされていて……もう俺感激しました！」
グッと握りしめられた拳とキラキラと輝く瞳。
その様子はあの女性に通じるものがある。
氷も溶けるような勢いに思わず、Aが一歩後退る。
ようやくカイがハッと正気に戻り「すみません！」と謝った。
「いえびっくりしただけなので……
でも納得しました。ゼン殿下の剣舞なら評判になるのも当然ですからね。
ただ、出るって仰ってなかったけどなあ……？」
首をかしげ顎に手をやった。
その腕にはさっきまではなかった腕飾りがあった。
尋ねると「ああ」と笑った。
「さっき買ったんです。
これがあったら」
そこで口をつぐんだ。
恥ずかしそうに笑う。
「なんでもありません」
瞳に宿る甘い色と桃色に染まった頬はほのかな色気を醸していた。
色気にあてられた3人は思わず目を瞬かせる。
「先輩、A殿って最近特にかわいくありません？」
「馬鹿。もし聞かれたらオビ殿に怒られるぞ」
小声で2人がささやき合った。
＊
シイラ達は他の場所に移動なのかと思っていたが、そうではないらしく結局4人で見回りをしていた。
輝いていた太陽が地平線へと消える頃。
わああと歓声があがった。
指差す先を見ると、ふわりと光が空にのぼっていくのが見えた。
もう終わりか。
感傷的になったその時、急に風がふいた。
思わず目を瞑ったAを誰かが引き寄せた。
「お嬢さん」そう低い声で囁く人は1人しかいない。
目を開けると、思った通りだ。
「びっくりした？」
オビが楽しそうに笑っていた。
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七草(プロフ) - みおさん» わー指摘ありがとうございます！書いている自分でもなんか違う気が…？って感じだったので助かりました_(:3」∠)_訂正しときます〜 (2017年5月19日 23時) (
レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - コメント失礼します！いつも更新されるの楽しみにしています！！私の勘違いかも知れませんがオビはキハルのことをトグリルと呼んでいたと思います！ (2017年5月19日 17時) (レス) id: 7eccd963e8 (このIDを非表示/違反報告)
七草(プロフ) - 意味に変わりはありませんが、『更新は遅めで』→『更新遅めで』です(･ω･`) (2017年5月15日 0時) (レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
七草(プロフ) - まりねえさん» 温かいお言葉ありがとうございます…！更新は遅めで申し訳ないです(；ω；)なるべく頑張ります！ (2017年5月15日 0時) (レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - とってもおもしろいです！ 更新頑張ってください、待ってます！ (2017年5月14日 21時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七草 | 作成日時：2017年3月27日 22時
