43 王城開放日(3) ページ44
黙って俯くAを怯えていると解釈したのか、男たちはより悪人面を歪めた。
しかしAは怯えてなどいなかった。
「何がですか？
あなた方が男ではなく女を狙うことしかできない弱虫だってことはわかってますよ。あと間抜けだってことも」
ゴミでも見るかの如く冷えた視線に男たちは一瞬ひるんだ。
が、それよりも怒りが勝ったらしく鬼のような形相で目を剥いた。
「んだとてめえ」
「ああすみません図星でしたか」
しゃあしゃあとした謝罪は火に油を注いだ。
目は据わり、顔色は赤を通り越してドス黒く染まっていく。
「……黙ってりゃ調子に乗りやがって」
「やれっ！」とリーダーの声を合図に男たちが武器を手に襲い掛かって来る。
一応短剣を構えたが、必要なかった。
「調子に乗ってるのはどっちだろうね」
不機嫌そうな低い声とともに男が降りて来たからだ。
オビが降りて来てからの展開は早かった。
いかにも裏稼業らしい容貌を見て顔色を変えた男たちは一目散に逃げていった。
逃走本能だけは立派らしい。
「追う？」
逃げた先に鋭い視線を送ったままのオビが尋ねた。
もう姿は見えないがオビならすぐに捕まえることができるだろう。
それはわかっていたがAは首を横に振った。
「まだ未遂だったし懲りただろうからもういいよ。
杜撰なやり口はいかにも素人。
祭りに浮かれた暇人が羽目を外した、ってとこだろうからね」
辛辣な物言いにオビは苦笑いした。
宥めるようにポンポンとAの頭を叩く。
「色々と引き連れて歩いてるのを見たときは驚いたよ。
あんまりヒヤヒヤさせないでよね」
「他の人に危害が加わったら嫌だなと思って」
さらりと答えるAにオビは微妙な顔をした。
「……それに自分が含まれないのがお嬢さんの悪いところだよね」
小さな呟きは風にかき消された。
聞き返すといつもの読めない笑顔で誤魔化される。
「なんでもないよ。
お嬢さんは俺が護ろうと思ってね」
「！？」
思わぬ言葉に動揺した。
軽薄な笑顔と似つかわしくない落ちついた声。どちらを信じたらいいのか。
「からかってるんだ、よね？」
真っ赤な顔で慌てるAに堪えきれずオビが笑った。
しかしそれを指摘する余裕はAにない。
「さあ？
さてお嬢さん。もう時間でしょう、送ってくよ」
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七草(プロフ) - みおさん» わー指摘ありがとうございます！書いている自分でもなんか違う気が…？って感じだったので助かりました_(:3」∠)_訂正しときます〜 (2017年5月19日 23時) (
レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - コメント失礼します！いつも更新されるの楽しみにしています！！私の勘違いかも知れませんがオビはキハルのことをトグリルと呼んでいたと思います！ (2017年5月19日 17時) (レス) id: 7eccd963e8 (このIDを非表示/違反報告)
七草(プロフ) - 意味に変わりはありませんが、『更新は遅めで』→『更新遅めで』です(･ω･`) (2017年5月15日 0時) (レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
七草(プロフ) - まりねえさん» 温かいお言葉ありがとうございます…！更新は遅めで申し訳ないです(；ω；)なるべく頑張ります！ (2017年5月15日 0時) (レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - とってもおもしろいです！ 更新頑張ってください、待ってます！ (2017年5月14日 21時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七草 | 作成日時：2017年3月27日 22時
