29 面会後 ページ30
いくら考えても名案は浮かばなかった。
深呼吸すると、ブレッカ子爵からの手土産が目に入る。
胡桃石の緑と羽の青が映えるそれは綺麗だ。
ただ作られた過程を考えると到底褒める気にはなれない。
「鳥の狩りは趣味の範疇。
そして胡桃石や鳥も保護するほどの価値は現在ない」
「つまりゼンが動くとややこしい問題が起こるってことか」
あとを続けたミツヒデが頭を抱えた。
あまり表情を動かさない木々も「厄介だね」と苦々しい表情を浮かべる。
鳥を救える可能性は今の所低い。
それは2人だけでなくおそらくAもわかっている。
助けられると思っているなら、『助けたい』ではなく『助けよう』と言うだろう。
「……気に食わんな。
あの娘に少しでも力を貸せたらいいのだが」
そう呟いた時、誰かの足音がした。
＊
空はオレンジ色に染まっていた。
普段は嫌いではないが今は寂しい色を見たくなくて、窓に背を向ける。
扉のそばで黙って立っていたAと目があうと、Aは皮肉めいた表情を浮かべた。
「わざわざ出向いて頂いたのに何もできなかった。
貴族のことがより嫌いになりました？」
最初に感じた、よそよそしさが復活している。
気圧されて答えられずにいると言葉を続けた。
「私は嫌いです。
利己的で、傲慢で。人の痛みに無頓着な輩が多いですから。
だから、助けたかったのに」
皮肉げな表情が崩れ、泣きそうな顔になる。
はじめからきっと強がっていただけなのだろう。
「嫌いになってない」思わず口に出していた。
Aは勿論、キハル自身も驚いた。
「白雪に言われたの。貴族がみんな自分勝手な奴な訳じゃないって。
実際にあなたたちは悔しそうな顔をしてくれたでしょう？
だから少し気が晴れた」
お世辞でも強がりでもない。
紛れもない本音だ。
「でも」
Aが何を続けようとしたのかわからなかった。
突然黙り窓の外に視線を送ったからだ。
そのまま窓に駆け寄り、じっと外を見つめる。
「どうしたの？」
「ゼンがよんでる」
突然の台詞に着いていけない。
ただ「行きましょう」と腕を引っ張るAの瞳は明るさを取り戻していた。
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七草(プロフ) - みおさん» わー指摘ありがとうございます！書いている自分でもなんか違う気が…？って感じだったので助かりました_(:3」∠)_訂正しときます〜 (2017年5月19日 23時) (
レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - コメント失礼します！いつも更新されるの楽しみにしています！！私の勘違いかも知れませんがオビはキハルのことをトグリルと呼んでいたと思います！ (2017年5月19日 17時) (レス) id: 7eccd963e8 (このIDを非表示/違反報告)
七草(プロフ) - 意味に変わりはありませんが、『更新は遅めで』→『更新遅めで』です(･ω･`) (2017年5月15日 0時) (レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
七草(プロフ) - まりねえさん» 温かいお言葉ありがとうございます…！更新は遅めで申し訳ないです(；ω；)なるべく頑張ります！ (2017年5月15日 0時) (レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - とってもおもしろいです！ 更新頑張ってください、待ってます！ (2017年5月14日 21時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七草 | 作成日時：2017年3月27日 22時
