28 面会 ページ29
いよいよ面会の時間が来た。
キハルを連れて部屋に入ると、すでに自分たち以外は揃っていた。
ミツヒデの隣に並ぶ。
初めてブレッカ子爵という方をお目にかかったが、好きになれない顔だ。
そんなことを考えていると急に視界が白くなった。
一拍置いて、移動したミツヒデの背中だとわかる。
しかしなんで。
「ゼンから頼まれたらしいよ」
隣の木々が耳打ちしてくれる。
でも、やっぱりそれが何故かはわからないままだった。
＊
やっぱりゼンは正解だったね。
木々は確信した。
面会が進むたびに、Aの表情が危うくなっていく。
鋭く細められた視線はナイフのようだった。
ミツヒデはさぞ居心地が悪いだろう。
昔からAはそうだった。
他人のことを考えない利己的な人間をひどく嫌っている。
無意識のものなのか、表情に出ていることに本人も自覚していない。
きっと未だに喋ってくれない過去が影響しているのだろう。
「事情はわかった。
検討し明日判断を述べるが、聞いた話当事者同士の話し合いが妥当だと考える」
ゼンの言葉にブレッカ子爵が笑った。
今まで表情を崩さなかったゼンも流石に渋面を作る。
言わずともAはブレッカ子爵を猛禽類にも劣らないほどの視線で睨みつけていた。
軽く袖を引っ張ると、我に返ったのか表情は落ち着いた。
しかし、
「いや失敬ゼン殿下。とんだお手数をおかけしました。
これでわかっただろう、トグリル？」
ブレッカ子爵が勝ち誇ったように笑う。
そのまま悠々と部屋の外へと出て行った。
「っ……失礼します」
悔しそうな顔をしたキハルも一礼した後、出ていく。
着いていくべきであるAは一点を見つめたまま動かなかった。
「A」
「あ、ごめん」
ゼンが声をかけると、意識を切り替えるように小さく首を振った。
「失礼します」と一礼した後ドアへと向かう。
「なんとかして、助けたいね」
ドアが閉まる前に小さく呟かれた言葉。
それには痛いほどの切望が
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七草(プロフ) - みおさん» わー指摘ありがとうございます！書いている自分でもなんか違う気が…？って感じだったので助かりました_(:3」∠)_訂正しときます〜 (2017年5月19日 23時) (
レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - コメント失礼します！いつも更新されるの楽しみにしています！！私の勘違いかも知れませんがオビはキハルのことをトグリルと呼んでいたと思います！ (2017年5月19日 17時) (レス) id: 7eccd963e8 (このIDを非表示/違反報告)
七草(プロフ) - 意味に変わりはありませんが、『更新は遅めで』→『更新遅めで』です(･ω･`) (2017年5月15日 0時) (レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
七草(プロフ) - まりねえさん» 温かいお言葉ありがとうございます…！更新は遅めで申し訳ないです(；ω；)なるべく頑張ります！ (2017年5月15日 0時) (レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - とってもおもしろいです！ 更新頑張ってください、待ってます！ (2017年5月14日 21時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七草 | 作成日時：2017年3月27日 22時
