20 夜の逢瀬(3) ページ21
「A殿ありがとうございます！」
「すみません俺たちが不甲斐なくて」
2人で挟むように男と肩を組んだ衛兵たちがAに頭を下げる。
ちなみにこの2人は、不審者とAの気配を感じたオビがここまで連れてきた衛兵だ。
気にしないでください、と2人に手を振るA。
その姿にオビは既視感を覚えた。
ああ。誤解が解けて俺が謝った時か。
あの時はそれまでの煽りと対応が違いすぎて拍子抜けただけだった。
でも今は
優しいように見えて壁を作っているような____
「オビ」
鈴のように澄んだ声がオビの意識を現実に戻す。
いつの間にか目の前に立っていたAに内心驚いた。
「来てくれてありがとう」
続けて「戻ろっか」と城へと歩き始める。
照れくさいのかやけに早足だった。
すっかり普通の話し方に慣れてるなあ、とオビはその背中を見てしみじみとした。
それはそれで嬉しいが、訂正する姿も見ていて楽しかったから寂しいけどねと自分勝手な感想を抱く。
「でも本当にタイミング良くてびっくりしたよ」
「お嬢さんが呼ぶならいつでもどこでもすぐに参りますよ」
「あはは、猫だとは思ってたけどまさか犬だったのかあ」
軽口を叩いているとあっという間に城の入り口に着いてしまった。
もう少しだけ。
そんな欲望は無意識のうちに口からこぼれ落ちる。
「お嬢さん、少し散歩しない？」
バッと手を口に当てたがもう遅い。
まるで逢引の誘いのような文句に自分で呆れる。
「いいよ？」
振り返ったAはオビと違い、あっさりとしていた。
いつかオビと白雪の聞き耳をたてていたのを逢引と皮肉ったこともあるAは、意味を知っていると思っていたが。
まさか夜の散歩＝逢引だと気づいてない？
オビは少し不安になる。
ただ、その考えはAのからかうような笑顔で霧散した。
「んじゃエスコートしてくださいな、お犬さん」
口調から察するに、夜の散歩が逢引だとは知っているらしい。
ただ軽口の延長線だと思っているのだろう。
鋭いようでいて、微妙に抜けてる鈍感嬢だねえ。
オビは苦笑いした。
まあ夜という、より神経をとがらせなければならない時間に一緒に歩いてくれるのは警戒心を解いてくれている証拠だ。
今はそれがわかっただけでいい。
「喜んで。お嬢さん」
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七草(プロフ) - みおさん» わー指摘ありがとうございます！書いている自分でもなんか違う気が…？って感じだったので助かりました_(:3」∠)_訂正しときます〜 (2017年5月19日 23時) (
レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - コメント失礼します！いつも更新されるの楽しみにしています！！私の勘違いかも知れませんがオビはキハルのことをトグリルと呼んでいたと思います！ (2017年5月19日 17時) (レス) id: 7eccd963e8 (このIDを非表示/違反報告)
七草(プロフ) - 意味に変わりはありませんが、『更新は遅めで』→『更新遅めで』です(･ω･`) (2017年5月15日 0時) (レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
七草(プロフ) - まりねえさん» 温かいお言葉ありがとうございます…！更新は遅めで申し訳ないです(；ω；)なるべく頑張ります！ (2017年5月15日 0時) (レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - とってもおもしろいです！ 更新頑張ってください、待ってます！ (2017年5月14日 21時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七草 | 作成日時：2017年3月27日 22時
