2 野良猫との出会い(前編) ページ3
「とはいってもどこ行こうかなあ」
残念ながらAには、イザナとゼン以外の喋り相手がいない。
あてもなくふらふらと歩くしかなかった。
「薬草園もいいけど、っ!?」
背筋がゾクッとした。
誰かがAを見ている。
いつの間に侵入者が入ったんだか。
帰ってきて早々の出来事に、ため息をついた。
かすかに物音がする方へ呼びかける。
「そんなに見つめられると穴が開くのですが」
「あちゃーばれちゃったか」
音もなく木から男が降りてきた。
へらへらと緊張感のない笑顔を浮かべている。
「割とあっさり出てくるんですね
降りてこない場合も考えていたのに」
「へぇー、そりゃ見たかったなあ
で、あんた誰?」
前言撤回。男は笑顔だが目は笑っていない。
ローブの中で短剣を探る。
「答えない、と言ったら?」
「どうしよっか?」
言うが早いか苦無が飛んできた。
短剣で叩き落とし、そのまま男の元へと駆け寄る。
短剣しか携えていないAにとって遠距離戦は不利でしかない。
(早く間合いを詰めないと……!)
その焦りのせいか避け損ね、苦無がAの頰を裂いた。
「さあ、どうする?」
ふいに動作をやめ、男が聞いた。
実力差はわかっただろうからさっさと去れということだろう。
余裕綽々な態度が非常に腹ただしい。
「どうもこうもないでしょう」
頰の血をぐいとぬぐい、笑う。
一層深みを帯びた深緑の瞳が男を貫いた。
「ま、ね」
猫のように鋭い瞳が挑発的な光を宿した。
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七草(プロフ) - みおさん» わー指摘ありがとうございます!書いている自分でもなんか違う気が…?って感じだったので助かりました_(:3」∠)_訂正しときます〜 (2017年5月19日 23時) (レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - コメント失礼します!いつも更新されるの楽しみにしています!!私の勘違いかも知れませんがオビはキハルのことをトグリルと呼んでいたと思います! (2017年5月19日 17時) (レス) id: 7eccd963e8 (このIDを非表示/違反報告)
七草(プロフ) - 意味に変わりはありませんが、『更新は遅めで』→『更新遅めで』です(・ω・`) (2017年5月15日 0時) (レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
七草(プロフ) - まりねえさん» 温かいお言葉ありがとうございます…!更新は遅めで申し訳ないです(;ω;)なるべく頑張ります! (2017年5月15日 0時) (レス) id: ee557d4a40 (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - とってもおもしろいです! 更新頑張ってください、待ってます! (2017年5月14日 21時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七草 | 作成日時:2017年3月27日 22時