ハツコイ。 (ページ3)

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二流の女ページ3

残り十分、といったところだろうか。私は店内に足を運んだ。

ちょうどNo.1にシャンパンが10本入ったところだった。

VIP席、というものに案内してもらって足を揃えて優雅に座る。

No.1とハルヤことハルが私の目の前に立った。
なんだか、お姫様になった気分。

『あら、No.1さんも来ていただいて。私は幸せな人ね。』

薄く笑みを浮かべる。

ハル「もちろん指名はこの俺だよな？」

誇らしげな顔をする彼。
ドクリ、と心臓が脈打つ。

『…ごめんなさいね、No.1さん。私、この人を指名させてもらうわ』

No.1は吃驚した顔をした。
勝ち誇った顔で、彼No.1を見た。

『…不思議ね、私が一流以外を選ぶなんて。』

ハルはゆっくり私の隣に腰掛けて、いやらしい視線を絡ませてきた。

ハル「Aさん、俺にいくらかけられますか？」

凛とした声がホストクラブ内に響く。

『そうね…マスター、この一番高いシャンパンを…20本、お願いしたいわ。』

彼は自分自身にむけてか、No.1にむけてか、誇らしそうに笑った。

『ねぇハル、どうしてだと思う？』

そう言いながら、シャンパンの入ったグラスを指でなぞる。

ハル「…まあ飲みません？」

ふっ、と笑ったあと、彼はそう言った。

私の気持ちを全て理解したかのように、笑った。

それから少し経ったとき、あの黒龍キリカが入ってきた。

ハルは彼女の方へ歩いていってしまった。

寂しい。
悲しい。

結局私こそ、二流の女なのかもしれない。

彼がいないとほろ苦いシャンパン。

グラスに入ってる分をくいっと飲み干した。

一方キリカは一口しか飲んでいない缶ビールに501万もかけて帰っていった。

帰る直前、似た者同士なのかしらね、と言われた。
だから、私は意外と二流の女ですよ、と笑顔で返しておいた。
キリカはくすりと笑って、自虐もうまいのね、と言い、颯爽と帰っていった。

その笑顔は甘い毒のようだった。