お見透し ページ8
ガクが部屋から出ていった。
少し経って、外の空気でも吸おうと思ったから、カツカツと長い廊下を歩く。
ハル「こんにちは、小鳥遊サン」
『あら、出資額に問題でも？』
ハル「いえいえ、そんなことは！…ただ」
なんだか、見透かしたかのようなその瞳が、私の心にぐさりぐさりと刺さる。
ハル「ガクのこと諦めたんなら、俺にしません？」
いつもの巫山戯た顔なんてどこにもなくて、ただ真剣に、獲物を取るような顔をしている。
惹き込まれそうな獣みたいな目。
『諦めた…？なんのこと？』
不安と怒りが混在した気持ちになる。
ハル「ディナーに行くつもりなんて始めからありませんでしたよね？
急にガクがディナーとか言い出すからびっくりしましたよ。」
見下ろすような顔の角度で私を見つめる。
『……全部、お見通しなのね。』
ハル「で、俺にしません？俺ならあなたでも満足させてみせます」
自身に溢れた顔。
真っ直ぐな瞳が、私を捉える。
でも、ガクのことを、諦められない。
離したくないし、離れたくない。
実感が湧いてきた。
手放す、諦めるという実感が。
泣くほど、私はガクが好きだったみたいで、ごめんなさい、と謝ったあと、涙が溢れて止まらなかった。
人に拒絶される感覚。
一歩距離を置かれる感覚。
別の次元の人のように扱われる感覚。
欲しい物に手が届かない感覚。
直接、上手く愛しいと言えない感覚。
恋でこんなにも泣いてしまう感覚。
すべてが初めてだった。
不意に彼が私のことを抱きしめた。
私は好意に甘えてホロホロあふれる涙を、ハルさんの胸の中で隠した。
背中に回った腕から伝わる、背徳の匂いが苦しかった。
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くも(プロフ) - 瑠華さん» ありがとうございます！みなさんがここまで読んでくださったおかげで完結までいけました…！本当にありがとうございます😭番外編も頑張ります💪 (9月16日 22時) (
レス) id: 8d1df0f303 (このIDを非表示/違反報告)
瑠華 - 完結おめでとうございます〰！ ここ最近ずっと読み返したり、更新を楽しみにしていたので本当に嬉しい限りです✨ 番外編もがんばってください！！ (9月16日 11時) (レス) @page22 id: 88894a9c9d (このIDを非表示/違反報告)
くも(プロフ) - aomin0131さん» 読み返してくださってるんですか！？ありがとうございます嬉しいです…！更新頑張るのでぜひこれからもご愛読ください！リクエストもありがとうございます🫶🏻 (9月3日 3時) (レス) id: 8d1df0f303 (このIDを非表示/違反報告)
aomin0131(プロフ) - 何度も読み返してます…こんな素敵な作品に出会えて嬉しいです！！！更新楽しみにしています！私も瑠華さんと同じで逆バージョン見てみたいです🫶🏻 (9月2日 16時) (レス) @page9 id: f7e48edc28 (このIDを非表示/違反報告)
くも(プロフ) - 瑠華さん» こんばんは！リクエストありがとうございます！逆バージョン…おもしろそうですね！この作品が完結したあとになるかと思いますが書いてみようと思います！頑張ります！💪 (9月1日 1時) (レス) id: 8d1df0f303 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くも | 作成日時：2023年8月22日 20時
