漂う香り ページ13
昨夜のことはお酒のせいでよく覚えていなかった。
でも一つだけ覚えているのは、『ガクがよかった』と小さく私が呟いたあとの寂しそうなハルの表情。
部屋には私一人。
机の上には、置き手紙と合鍵。
手紙には〈俺先出る、合鍵使って〉と質素な言葉が書かれていた。
うらに文字が書いてあるのに気がついた。
〈ガクに会ったら気になってること聞けるぜ？
俺の匂いついたまま会ったらどう思われるかわかんないけど〉
気になってること。
それはデートのことだろう。
彼にはやっぱりお見透しなようだった。
私は会いたくて、聞きたくて仕方なくなってしまったから、急いで宮本に電話をして車を出してもらうことにした。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
全身から漂うハルの香り。
香水とも柔軟剤とも言い難い香りが鼻孔に絡みついて、いつもの宮本の運転する車さえ落ち着かない。
宮本もなにか聞きたげな顔で運転している。
そんな二人を置いていくように車はトリリオンゲーム社のオフィスへ着々と進んでいく。
『こんにちは、お話を伺いに来ました』
動揺と落ち着きのなさを隠すように笑顔を貼り付ける。
凜々「えっ…！？小鳥遊様！？こっ、こちらへどうぞ…！」
緊張した様子の若い社長さんが、小さな会議室のようなところへ私を通す。
驚いた顔をしたガクが近寄ってくる。
そして何かに気がついたような顔をしたあと、恐る恐る言葉を出した。
ガク「…えっと、……今日、ハルくんはいないんですけど…」
ハルの匂いだって、わかったからこう言ったのだろうか。
でも、違う。
『…違う、あなたに用があってきたの。』
ガク「…僕に…。」
凛々さんは頭を少し下げて部屋から出ていった。
ガクと二人きりだった。
でも、この匂いのせいで、昨日のデートのせいで、関係は最悪だった。
沈黙を破るために私は聞きたかったことを彼に聞く。
『…キリカ様とどうしてデートしたの？』
好きだから、以外の理由を聞いて、納得したかった。
好き以外の理由だったら、私は無駄に寝たことになるから、好きであってくれと願う気持ちもあった。
矛盾している気持ちが交差する。
早く打つ心臓と一緒に、彼の言葉をゆっくり待つ。
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くも(プロフ) - 瑠華さん» ありがとうございます！みなさんがここまで読んでくださったおかげで完結までいけました…！本当にありがとうございます😭番外編も頑張ります💪 (9月16日 22時) (
レス) id: 8d1df0f303 (このIDを非表示/違反報告)
瑠華 - 完結おめでとうございます〰！ ここ最近ずっと読み返したり、更新を楽しみにしていたので本当に嬉しい限りです✨ 番外編もがんばってください！！ (9月16日 11時) (レス) @page22 id: 88894a9c9d (このIDを非表示/違反報告)
くも(プロフ) - aomin0131さん» 読み返してくださってるんですか！？ありがとうございます嬉しいです…！更新頑張るのでぜひこれからもご愛読ください！リクエストもありがとうございます🫶🏻 (9月3日 3時) (レス) id: 8d1df0f303 (このIDを非表示/違反報告)
aomin0131(プロフ) - 何度も読み返してます…こんな素敵な作品に出会えて嬉しいです！！！更新楽しみにしています！私も瑠華さんと同じで逆バージョン見てみたいです🫶🏻 (9月2日 16時) (レス) @page9 id: f7e48edc28 (このIDを非表示/違反報告)
くも(プロフ) - 瑠華さん» こんばんは！リクエストありがとうございます！逆バージョン…おもしろそうですね！この作品が完結したあとになるかと思いますが書いてみようと思います！頑張ります！💪 (9月1日 1時) (レス) id: 8d1df0f303 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くも | 作成日時：2023年8月22日 20時
