３６話 かいこ ページ44
桜「もしかして、いや、もしかしなくとも……風螺ってお金持ちでしょ？」
恐る恐る尋ねる。釈放金を一括払いし、それだけでなく、この廃工場を買うと馬鹿みたいなことを言っているのだ。マフィア時代、武器や薬など取り扱ってかなりの大金が動いていたが、それは一組織としてだ。こんなまだ大人とも呼べない子供が一人で、そう一人で、大金を本日だけで二回も使おうとしているのである。そんなの、よほどの馬鹿か金持ちしかいないだろう。いや、実際桜羽の釈放金を払っているので金持ちしかいない。
風「うん、そうだよ」
風螺は何も謙遜することなく淡々と答えた。その答えに誰が言葉を失ったのか言わなくてもわかるだろう。
風「あれ、言ってなかったっけ？僕実は結構有名なグループの御曹司だったんだよ」
管理人とは話がついたのか、スマホをズボンのポケットにしまう。普通、自分から御曹司とは言わないのではと突っ込むところだったが、それより深弥には引っかかるものがあった。
深「『だった』？」
風「そうそう。僕の両親が出張先で事故って死んじゃったんだ。その後、三つ上の姉さんが母親代わりで僕を育ててくれたんだけど、ある日強盗が押し寄せてきて僕を庇って亡くなっちゃったんだ」
両親の話をしているとき、どこか清々している感じが見えていたが、姉の話では影がある。目の前で大事な人を亡くしたからだろうか。
風「社長だった父さんの右腕だった部下がそのあと色々手配してくれたんだけど、イイ子として育てられて外の世界を全く知らなかったからお手伝いさんを解雇して、家も土地も売り払った。会社は生前父さんが遺言で右腕の部下に任せるとか残してたみたいだから会社自体はまだ健在しているよ」
日「それは……辛かったでしょう」
「半分正解で半分不正解」といつも通り飄々と風螺は言う。
風「姉さんに対してはそりゃ辛かったさ。三日三晩泣きつくしたよ。でも、両親はなぁ…仕事一辺倒だったから。僕たちにはあまり興味がなかったみたいだよ。特に僕に対してはね。僕って馬鹿だし。出来が良かった姉さんとよく比べられたよ。口をきいてもらうことなんて滅多になかった」
そこまで言い終えてから、「でも」と話を繋ぐ。
風「辛かったけれど、姉さんがいたから毎日を乗り越えることが出来たよ」
懐かしそうに、そして泣きそうな顔で空を見つめたまま笑顔でそう答えた。
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とりっぴー(プロフ) - 名無しさん» 可愛いと思います！めっちゃ童顔なんで( ´艸｀) (2018年8月2日 20時) (
レス) id: d877de1a29 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 風螺かわいいイメージが湧く(´∀`) (2018年8月2日 19時) (レス) id: 8a96e91b77 (このIDを非表示/違反報告)
とりっぴー(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます！！！私もそのようなコメントを頂きとても活が出ます！！今後ともよろしくお願いします！(*´ω`*) (2018年8月2日 19時) (レス) id: d877de1a29 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - これからの展開にワクワクさせられます！ (2018年8月2日 18時) (レス) id: 8a96e91b77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とりっぴー | 作成日時：2017年11月2日 22時
