恋模様 (ページ32)

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俺は何も言えずたたずむしかなかった。

Aに悲しい顔をさせていたのは自分だったと。

やっと気付かされた。

神様はいるんだよ。

隠れてかなと会っていた事に罰が当たったんだ。

『ごめん……A』

今追いかけて俺が好きなのはAだって言えば良かったかもしれない。

そしたらハッピーエンドが待っていたかもしれない。

でもそんな事できる資格なんてない。

学校でもAを見かける事はなくなった。

元々学部も違うし、会いに行けば会えるけど。

そんな勇気もない。

『よっ』

『涼太、おは』

『あの後かなと会ったの？』

『会ってない』

なぜ写真をAに送ったのかを聞きたかったけど

感情的になりそうだから時間を置いていた。

『Aちゃんは？』

『特に……』

今はこの名前を聞きたくなかった。

『俺はとやかく言うわけじゃないけど、好きならもう一回話すべきだと思う』

涼太はいつだって冷静で的確。

Aに何も言えなかった自分も悪い。

『そうだよな、涼太ありがと』