恋模様 (ページ30)

今日:12 hit、昨日:19 hit、合計:91,074 hit

30 ページ30

Aからの連絡がきたのは2週間ぶり。

話があるからとメールが着た。

夕方になると賑やかな大学内も静まり返る。

指定された屋上に足を運ぶと

夕日に照らされたAがベンチに座っていた。

久しぶりの彼女はまた一段と美しくなっているように思える。

『お待たせ。久しぶりだね』

『わざわざ来てくれてありがとう』

普通に話しているようだが笑顔がぎこちない。

『話したいことってなんだった？』

『………………』

『あのね。……翔太くんって……かなちゃんと付き合ってるの？』

彼女から飛び出した言葉は予想外。

どうしてこの質問をされているのか状況が掴めない。

『いや、付き合ってないよ。かなはふっかと付き合ってるから』

『…………じゃあこれは？』

見せられたのは俺とかなの写真。

俺が寝ている間にかなが勝手に撮った写真だと。

『なにこれ？』

『これ……かなちゃんから送られてきたの。わたしは彼女じゃないし、翔太くんとかなちゃんがどうゆう関係とか聞く権利はないけど』

『でも、わたしは翔太くんが好きだからちょっとショックだった。一緒に居た時間がすごい楽しかったから……』

俺は言葉が出なかった。

『翔太くん……仲良くしてくれてありがとう。わたしはもう翔太くんと一緒にいれないからこれでもう友達も終わり。諦めるね。』

Aは淡々と話をし俺に背を向けた。

涙は一切流さなかったけど悲しい顔で

その場を去っていた。

『翔太くんと出会えて楽しかった』

俺に背を向けた後に大粒の涙を流していた事は知る由もなかった。