恋模様 (ページ21)

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準備も出来たし家を出ようとした時だった。

ﾌﾞﾙﾌﾞﾙと俺のスマホが震えた。

(翔太に会いたい)

かなからのメール。

(いまから用があるから)

もうかなに縛られちゃダメだと。

Aの顔を思い浮かべながら葛藤する。

ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

(お願い。ひとりじゃ無理なの)

(ふっかは？)

この文を送った以来既読がつかなかった。

一度かなが家出をしたまま帰ってこず

みんなで探し回った事があり、

それ以来かなの事がほっておけなくなった。

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

『翔太！！やっぱり来てくれた』

ギュッと細い腕を絡められた。

甘い香りがふわっと鼻を掠める。

『ごめん、俺これからAと約束あるから』

抱きしめられたその腕をほどいた。

『あのさ、かな……もうこうゆうのやめない？』

かなは何も言わなかった。

『とりあえず俺行くわ』

後ろめたい気持ちもあるが

そのままかなの元を後にした。

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ

『もしもし涼太？今どの辺？』

『翔太今どこ？』

『今駅着いたところ』

『入口でAちゃんが翔太のこと待ってるぞ』

Aが待ってるっていつから？

俺がメール送ってから

１時間は経っている気がするし。

それに辺りも少しずつ暗くなってきた。

急いで入口まで走った。

『A！！！！』

『翔太くん！息切れして大丈夫？』

『ﾊｧﾊｧ……いや、花火……まだ間に合う？』

『大丈夫だよ』

花火より眩しい彼女の笑顔が降りそそぐ。

Aの手をとり歩き出した。

『一人で待たせてごめん』

『ううん。翔太くんと一緒に見たかったから』