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樹side
出勤すると、ナースステーション付けのベッドにブカブカの北斗のパーカー着て寝てるAがいて、そのベッドサイドにジェシーがいた。
『でも、』
ジ「だってもう、横になってなきゃ限界でしょ？ちょっと休ませてあげなきゃ」
『………ん』
ジ「入院受付のオネーサンのところまで行ける？」
『…できない』
ジ「じゃあ書類貰ってくるからね」
Aは下唇をギュッて噛んで泣くの我慢してて、それをみたジェシーがAを包み込んでハグしてる。大きな声で泣いて、駄々捏ねたらいいのに。通院時も今もありがたいっちゃありがたいんだけど、このままだと壊れちゃうんじゃないの？って心配になる。
樹「A、ベッドごと部屋に移動させていい？」
『うん』
樹「あと風磨からカーディガン預かったけど」
『あ…っ、風磨なんか言ってた…？』
樹「いや？返しといてって」
『…そう。ありがとう』
自己抜針したの知ってるけど、今言う必要ないだろ。
樹「…でも、一回針だけつけさして欲しいんだけど…今いい？」
『………ぁ…えっと、うん』
樹「やだよなぁ、ごめんな」
『ううん平気』
そう言って素直に差し出してきた腕に、ものすごい違和感。
樹「…A、A。そこ、ギュッてしないよ」
『…え？』
無意識か。嫌なのを我慢して違う痛みで誤魔化そうとして、ぎゅっと力一杯握りしめた手のひらを、そっと撫でるようにして開くと、爪を食い込ませていたようで血が出てしまっていた。
…今回だけでできる傷の深さじゃないし、よく見ると噛み締めた下唇にも傷が出来ていた。
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作者名：siro | 作成日時：2024年1月4日 17時
