声優界最強姉弟5

1人 ページ23

江口 side



今日は(人1)が壮馬と飲みに行くため、1人で帰る。




まあいつも1人だけど。




今頃楽しく飲んでるかなあ、と思いながら、タクシーを捕まえて乗り込む。




……今日のタクシーの運転手、随分と若い人だな。




ミラー越しに目が合ったものの、何事もなく、窓の外に目を向ける。




「お客さん随分と派手な髪色してますね」




江口「あぁ、この間染め直したんです」




タクシーの運転手が話しかけてきたため、そう返す。




「お兄さんいくつですか？随分とお若い」




江口「いやいや、今年で34ですよ」




「おお！同い年だ！」




江口「あ、そうなんですか！」




偶然で、思わずタクシーにある運転手の名前を見る。




…名前の部分が微妙に暗くて、物も被っていて見えない。




江口「林田…さん？」




「はい、林田です、林田慎也」




林田さんか。




俺は自己紹介してくれたため、軽くお礼を言う。




林田「あれ？お客さんもしかして声優の…？」




江口「え」




今丁度眩しい車が横を通り、顔が見えてしまったのか。




林田「江口拓也さんですか！嫁が大ファンなんだよ！」




奥さんがいるのか。




手袋してると、結婚指輪とか見れなくて気づけないな。




結婚指輪か。




近々、ちゃんとした結婚指輪、(人1)に買わなきゃな。




俺は自分の右手の薬指にある指輪をなぞりながら、そう思った。

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