声優界最強姉弟5

呼び方 ページ2

you side




「江口〜、お風呂空いたよー」




そう言っても返事が返ってこない。




……私のお泊まりのときと同じかな。




立場は逆だけど。




私も江口がお風呂入ってるときに寝落ちしちゃったんだよね。




私がそおっと行くと、長い足がソファからはみ出ていて、少しクスッと笑ってしまった。




「えーぐち」




私がそう言っても目を開けない江口。




すやすやと眠っている。




私は江口の前に言ってしゃがむ。




真礼『恋人なんだから、江口呼びじゃなくて、拓也さん、とか拓也くんって呼びなよ』




飲み会のときに言われた真礼の言葉が頭を過ぎった。




……江口もなんか思ってたりするのかな。




私は寝ている江口の顔を見つめる。




呼ぶとしたらなんだろう…。




拓也さん？




これはちょっと恥ずかしいし、私たちにしては距離があってなんか嫌だな。




「……拓也……くん…」




呼び捨ても恥ずかしくなり、消えるような声でくんを後付けする。




………なんか恥ずかしくなってきた。




私はソファに顔を埋めて、1人で勝手に赤くしていると、不意に顔を持ち上げられるように上を向かせられる。




江口「なあに？(人1)」




「え、江口起きてっ…！？」




江口「…名前で呼んでくれないの？」




少し寝ぼけているような、目がトロンと眠そうな顔で私に言ってくる。




「……」




普段の私だったら、照れてしまって呼ばない、と逃げてしまうだろう。




「……た、拓也くん」




でも、私だってもう彼女だから。

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