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3.各々のペース ページ4

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「今日はちと町へ下りてくるぞ」



「町へ?何しに?」





ご飯を食べ終わったおじいちゃんがお箸を器の上に置いてそう言った。



まだもぐもぐとご飯を食べていた善逸さんがそれにすかさず問うた。





「うむ、実はちと気になる女子(おなご)がおってのぉ…」





そう言うとおじいちゃんはゆっくりと立ち上がり、玄関へと向かった。





「もう行かれるのですか?」



「昼には戻ってくる」





獪岳さんに背中を向けたままそう答えると、おじいちゃんはガラガラッと引き戸を開けて出て行ってしまった。





「「「……………」」」





私たちはおじいちゃんが出て行ったのを見届けると無言になった。





「……女子って、…誰?」





しばらくして善逸さんがそうポツリと声をもらしたけど、その答えは私も獪岳さんも分からなくてそれに答えることが出来なかった。





「…ごっそうさん。」



「あっ、お粗末さまでした!」





食べ終えた獪岳さんはすっと立ち上がり、横に置いていた刀を持って、おじいちゃんに続いて外へ出て行った。





「…よくやるよなぁ、アイツ」





獪岳さんをじっと目で追っていた善逸さんは、獪岳さんの姿が消えるとともにそう呟いた。





「…ムカつくとこばっかだけど、朝から晩まで人一倍鍛練してすげぇよ」



「善逸さん…?」





独り言なのか私に言っているのかよく分からなくて善逸さんをしばらく見つめていると、善逸さんは はぁ… と盛大なため息をついた。





「…俺も、もっと頑張らなきゃな」





そう言って善逸さんは自身の両手を腿の上でグッと強く握っていた。





私はそろそろっと善逸さんの隣へ行き、肩をちょんちょんとつついた。





「…?どうしたの?Aちゃん」





善逸さんは私を瞳に映すと、それまで少し強ばっていた顔がほぐれて、いつもの優しい顔の善逸さんに戻った。





「善逸さんは、善逸さんのペースで進んでいけばいいんですよ」



「Aちゃん……」





私がそう言葉をかけると、善逸さんは大きな瞳をうるうると潤ませてこちらを見つめてきた。





「うぅ…Aちゃん…いつもありがとうねぇぇぇ!」



「うわっ、善逸さん!…ふふっ、くすぐったいです…っ!」





急にガバッと抱きしめられて、善逸さんは自身の頬を私の頬にすりすりとあてがってきた。





すりすりされながら、いつもの善逸さんに戻ったことを確認して私は胸をなでおろした。





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ねみぃ - とっても面白いですっ!早く続き見たいなぁ! (2020年8月3日 14時) (レス) id: 1946505169 (このIDを非表示/違反報告)
ろびこ(プロフ) - すごく面白いです!応援してます!! (2020年8月1日 17時) (レス) id: cb3f601968 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆきの子 | 作成日時:2020年7月28日 2時

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