10.離れていく ページ12
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家から出てしばらく歩いたところで木々がたくさん生い茂っている場所に着いた。
空を見上げると雲は先程よりも一層厚さが増し、今にも雨が降ってきそうな様子だった。
私は足早に木々の間を通り抜けて奥へと進んだ。
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「ん〜美味しいっ!」
しばらく進むとどこかで杏子さんの声が聞こえてきた。
声の聞こえた方に歩いて行くと、岩の上に座って桃をかじっている杏子さんの姿が見えた。
その両隣には善逸さんと獪岳さんも座っていた。
「あれ?Aちゃん!一人で来たの?!」
耳のいい善逸さんが私の足音に気がついたようですぐに声をかけてくれた。
「はい。雨が振りそうだったので傘を…」
私が3人分の傘を渡しに行こうとすると、杏子さんがすくっと立ち上がってこちらへ駆け寄ってきた。
「Aちゃんわざわざありがとう!ありがたく貸してもらうね!」
「あ、はいっ、」
杏子さんは私が差し出す前に私の手元からパッと傘を取り、すぐに善逸さんと獪岳さんの元へと戻って行った。
「………」
徐々に離れていく杏子さんの後ろ姿をしばらく眺めていたが、杏子さんが振り返ることはなかった。
「………戻ろう」
無事傘は渡せたことだし、家に帰ろうと踵を返した。
後ろから聞こえてきた三人の楽しそうな声にわざと聞こえないふりをし、足早に歩いた。
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ねみぃ - とっても面白いですっ!早く続き見たいなぁ! (2020年8月3日 14時) (レス) id: 1946505169 (このIDを非表示/違反報告)
ろびこ(プロフ) - すごく面白いです!応援してます!! (2020年8月1日 17時) (レス) id: cb3f601968 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきの子 | 作成日時:2020年7月28日 2時