追伸 ━━━━━。【獪岳】

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「獪岳！」









呼び捨てを許可してもらえたことで、すこしだけ獪岳に近づけた気がした。









「ンだよ」

「ね、手合わせしよ！」









常に鍛錬に励む彼の力量を計ってみたくて、手合わせを持ちかけた。手合わせの合間なら彼の笑顔が見られるかもしれない。









しかし獪岳は憮然とした表情を崩さないまま断った。その声は氷のように冷たくて。氷柱のように鋭利な言葉が私の心に突き刺さる。









「お前みてぇになんの努力もしねぇで継子になれた奴と、誰が手合わせなんかするかよ。俺が壱の型使えねぇの知ってんだろ。俺は認められるために鍛錬するんだ。分かったならとっととどっか行け」









吐き捨てられるように言われた。なんで、あなたはそこまで









「壱の型に拘るの？」









生まれた純粋な疑問は、言の葉となって微かに吹く風に乗せられ、獪岳に届いた。









「あ″？」









きっと獪岳の目を通して見た私は恵まれているんだろう。彼が必死に刀を振っている間、私は獪岳に付き纏って。でも蛇柱の継子でそこそこ階級も高くて。









何も知らないお前に何が分かるんだと、言いたいのが顔とたった一文字を発した声音でわかった。

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