追伸 ━━━━━。【獪岳】

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上弦の壱を目の前にした手前、誰もが怖気付く。私は必死で相手の技を伝えようと思ったが、出てくるのは苦しげな呼吸音だけ。









大丈夫だから。私は死なないから。だから、そんな泣きそうな顔しないで、獪岳。









生きる意味を見つけた私は無敵なんだよ。絶対絶対生きて帰るから。獪岳にいつも通りの笑顔を見せるから。









約束するから。









「逃げ……て…………」









必死で絞り出した声は獪岳に届いたのだろうか。言った後すぐに血を吐いてしまったから分からない。









お願い、獪岳は逃げて。危ないことしないで。生きてればなんとかなるんでしょう？確実に生き残れる方法は逃げる、ただひとつだ。









死んだらそこで終わりなんだよ、獪岳が教えてくれたんでしょ。









「その娘……まだ生きていたとは……あの方の命令は鬼狩りを殲滅させる……その娘も……柱じゃなくとも対象のひとつだ……」









私のことを言われているんだなと不明瞭な意識の中で思った。獪岳は私を抱いていたけれどゆっくり降ろした。









狭窄する視界で最後に見えたのは、額を地面に擦り付ける獪岳の姿だった。

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