9日 ページ9
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「Aさん、寒いでしょう?まだ寝ないんですか?」
背後から、1番聞きたくなかった声が聞こえた。緩慢な仕草で振り返るとやはりそこには竈門くんが立っていた。君の顔が浮かんで寝られないなんて、君が寝られているのか心配で寝られないなんて、そんな小っ恥ずかしいこと私の口から言えるわけない。
「寝られないだけ。竈門くんこそどうしたの」
後ろにいる竈門くんを見ようと振り返るも彼はそこに居なくて、いつの間にか私の隣に立っていた。静かに驚く私に眩いほどの笑顔をうかべて言い放った。
「Aさんをあっためるために起きました!」
竈門くんの事だから、その言葉に特に深い意味はない。そんなこと理解している。誰にでも言えてしまうのだ、そういう人間なのだ、竈門炭治郎という少年は。そう思ったらだんだん腹が立ってきて。
「そういうこと誰にでもしない方がいいよ。私だから勘違いされなくて済んだけど、ほかの女の子だったら確実に勘違いしてる。迂闊に誰にでも優しくしない方がいいよ」
私の気持ちを悟られないように早口で伝えた。つっけんどんな態度がかわいくないなと自分でも心底思った。誰にでも優しくしない方がいい、それはつまり彼の長所の否定を意味していた。彼の人格を否定してまでも、溢れてくる感情を抑えたかった。自分自身ではもうどうしようもないところまで来ていた。
「なら、俺がAさんだけに優しくしたら勘違いしてくれますか?」
「はっ?」
間抜けな声が冬の澄んだ空気を震わせた。
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あかね(プロフ) - 春巻さん» 炭治郎いいですよね……!良かったです、そう言っていただけて嬉しいです(^^)ありがとうございます、これからも頑張ります! (2020年5月27日 19時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
春巻 - 炭治郎大好き民なので凄い勢いで読んでしまいました(笑)気づいた時には涙腺崩壊(´;ω;`)ウゥゥとっても素敵なお話でした!これからも頑張ってください(*'▽') (2020年5月27日 18時) (レス) id: 224dfaba1e (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 遥さん» うえ!こんなちんけな作品をそう言って貰えて喜びの舞です!!嬉しいです、ありがとうございます!! (2020年4月26日 1時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - どうやったらこう、素敵なお話が書けるんですかぁ〜〜(´TωT`)とても泣けました!ありがとうございます(泣)突然馴れ馴れしいコメントすみません。 (2020年4月26日 1時) (レス) id: c53d9db867 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - うすすさん» そう言っていただけるなんて恐縮です!嬉しいコメントありがとうございます! (2020年3月10日 10時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかね | 作成日時:2020年2月3日 23時